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シリア人男性の難民訴訟、請求棄却…「日本で生きていくしかない」悔しさにじませる
2018年03月20日 17時21分

内戦がつづくシリアから日本に逃れてきた男性4人が、難民申請を不認定とした国の処分は不服だとして、無効確認などを求めていた訴訟で、東京地裁は3月20日、難民であるとする客観的な証拠がないとして、原告側の請求を退ける判決を下した。シリア難民弁護団によると、シリア情勢が悪化した2011年以降に来日したシリア人が難民認定されるかどうかに関する判決は今回が初めて。

原告の1人、ヨセフ・ジュディさん(34)は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。ジュディさんは「このような判決であれば、世界中のシリア難民が、難民でないということになる」「2012年に日本に来たが、現在のシリアはさらにひどい状況になっている。街が破壊されて、化学兵器も使用されている。日本の裁判所はまったく理解してくれていないのではないか」と悔しさをにじませた。原告側は控訴する方針を示している。

内戦がつづくシリアから日本に逃れてきた男性4人が、難民申請を不認定とした国の処分は不服だとして、無効確認などを求めていた訴訟で、東京地裁は3月20日、難民であるとする客観的な証拠がないとして、原告側の請求を退ける判決を下した。シリア難民弁護団によると、シリア情勢が悪化した2011年以降に来日したシリア人が難民認定されるかどうかに関する判決は今回が初めて。

原告の1人、ヨセフ・ジュディさん(34)は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。ジュディさんは「このような判決であれば、世界中のシリア難民が、難民でないということになる」「2012年に日本に来たが、現在のシリアはさらにひどい状況になっている。街が破壊されて、化学兵器も使用されている。日本の裁判所はまったく理解してくれていないのではないか」と悔しさをにじませた。原告側は控訴する方針を示している。

●ジュディさんは「人道配慮による在留特別許可」は受けているが・・・

原告4人(20代〜35歳の男性)はそれぞれ、2012年に来日して、2013年に難民認定申請をおこなった。法務大臣は「人道配慮による在留特別許可」はおこなったが、難民と認めない処分を下した。これを不服として、男性たちは2015年3月、処分の無効確認などを求めて、東京地裁に提訴していた。

シリア難民弁護団によると、争点になったのは、(1)2011年以降、情勢が著しく悪化したシリアにおいても、難民認定の要件である「本国政府から個別に把握されていること」(反政府活動家など)を必要とするのか、(2)仮に、「個別に把握されていること」を必要としても、原告は条約上の難民に該当するといえるか――だった。

東京地裁の林俊之裁判長は、ジュディさんについて、影響力のあるクルド民族の部族長の家系であることや、反政府デモに参加していたことは認めながらも、政府から、反政府活動として迫害を受けたとする「客観的な証拠」がないと判断。ジュディさんの請求を棄却した。

残りの3人のうち1人についても棄却、2人については第三国へ出国していることから訴えの利益がないとして却下とした。

●「日本の難民認定は異常な事態だ」

ジュディさんは在留特別許可を受けて、現在は埼玉県でシリア出身の妻や、子どもと暮らしている。ジュディさんは「子どもの将来が心配だ。子どもの将来を確保することが一番の問題で、パスポートもなく、日本で生きていくしかない」と述べた。

日本の難民認定には高いハードルがあるとされる。2017年12月時点で、シリア人難民申請者は約80人で、認定は12人にとどまっている。

会見に同席したシリア難民弁護団の渡邉彰悟弁護士は「裁判所には、あらためて難民条約の解釈の仕方、適正な難民保護は何かを認識してもらいたい」「国際的に見ても、日本の難民認定が異常な事態で、司法が是正できていないことに怒りを感じている」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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