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<池上さんコラム見送り問題>朝日新聞社長「社内記者の上層部批判を重く受け止めた」
2014年09月11日 23時18分

「吉田調書」の報道をめぐって、朝日新聞が9月11日に開いた記者会見では、慰安婦問題の報道についての質問も出た。同社の検証報道を批判するジャーナリスト・池上彰さんの連載コラム「新聞ななめ読み」の掲載をいったん見合わせたことについて、木村伊量(ただかず)社長は、「言論の自由の封殺であるという、思いもよらない批判をちょうだいした。読者の信頼を損なう結果になったことについて、社長としての責任を痛感している」と述べた。

「吉田調書」の報道をめぐって、朝日新聞が9月11日に開いた記者会見では、慰安婦問題の報道についての質問も出た。同社の検証報道を批判するジャーナリスト・池上彰さんの連載コラム「新聞ななめ読み」の掲載をいったん見合わせたことについて、木村伊量(ただかず)社長は、「言論の自由の封殺であるという、思いもよらない批判をちょうだいした。読者の信頼を損なう結果になったことについて、社長としての責任を痛感している」と述べた。

●「編集担当取締役が掲載見送りを判断」と説明

この日の会見は、東京電力福島第一原発の事故当時に所長をつとめていた吉田昌郎氏の「吉田調書」をめぐる朝日新聞の記事取り消しを発表するものだったが、慰安婦問題についても対応を説明。記者からも関連する質問が多数ぶつけられた。

朝日新聞は8月、過去の慰安婦報道の検証記事を掲載し、韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を虚偽と判断した。これを受けた池上さんのコラムは「今回の検証は、自社の報道の過ちを認め、読者に報告しているのに、謝罪の言葉がありません。せっかくの勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫びがなければ、試みは台無しです」と、朝日新聞の姿勢を批判するものだった。同社は一時掲載を見合わせたが、批判が集中したため、結局は掲載した。

木村社長はコラム掲載の対応について、「かなり朝日新聞にとって厳しい内容だと聞いていたが、対応は編集担当(杉浦信之・取締役)に委ねていた」と釈明。会見に同席していた杉浦取締役が「私が判断した。結果として間違っていた。社内での議論があって、最終的に掲載することを決断した」と語った。ただ、掲載見送りの理由については、「さまざまな環境を考えた時に、過敏になりすぎた」と述べるにとどまった。

今回の対応については、同社の記者がツイッターなどで、相次いで批判の声をあげたことが大きな特徴だった。木村社長は「大変厳しい批判が上層部に向けられた。我々のモットーは自由な言論空間を保障することで、指摘は厳しく受け止めた。自由な言論を保障するのがトップの責任だ」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

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