10836.jpg
刑務所のゆく年来る年 元受刑者7人「おめで鯛メニュー」を語る
2018年12月29日 08時41分

刑務所に入っている受刑者たちは、クリスマスと年末年始にどのようなものを食べているのか、知っていますか。弁護士ドットコムニュースでは2011年以降に出所した元受刑者の男性7人への取材に成功。1度だけ「鯛」が出てきたなど、意外なエピソードを入手しました。

刑務所

刑務所に入っている受刑者たちは、クリスマスと年末年始にどのようなものを食べているのか、知っていますか。弁護士ドットコムニュースでは2011年以降に出所した元受刑者の男性7人への取材に成功。1度だけ「鯛」が出てきたなど、意外なエピソードを入手しました。

刑務所

●年々小さくなるケーキ

7人は、匿名を条件に取材に応じてくれました(元受刑者の名前はいずれも仮名)。出所した刑務所は7人が同じというわけではなく、話を聞いているとメニューは刑務所によって違うようです。

「フライドチキンという名の唐揚げが出てきました。たしかにチキンではありましたけど」と話すのは、N刑務所にいたという小川さん(30代)。

M刑務所に15年いたという水野さん(30代)は毎年、レトルトのチキンソテーが出ていたそうです。また、コーンとベーコンのいためものやアスパラも出たそうで「アスパラはわりとおいしかった」と水野さんはいいます。

刑務所

風岡さん(50代)はS刑務所をはじめ、複数の刑務所にいましたが、ケーキが毎年小さくなっていきました。予算の問題ではないかといいます。「最初はよくある5号ケーキの小さい版のような丸いケーキが出ました。でも年々小さくなって、形も三角になりました」

刑務所

●おもちやおせちは賛否両論

刑務所では、ふだんは麦をまぜたご飯が提供されます。しかし、お正月には白いご飯やおもち、おせちなども出たと7人は振り返ります。

刑務所

風岡さんは「S刑務所では1度だけ鯛が出てきて、驚きました」。お正月に出てくる焼き鯛の小さめのものだったといいます。水野さんは「おもちはつきたてで粉がついていました。あんこやきなこ、雑煮、ずんだもちなどいろんな種類を食べました」と記憶をさかのぼってくれました。

一方、悲しいエピソードも。N刑務所にいた高橋さん(40代)は「冷凍のお刺身が出ました。ただ、凍ったままのカチンコチン状態。おもちも冷えていて、とても固かったです」。

「おもちは焼いてしばらくたっていたのか、冷たかったですね。ただ、ふだんと比べればおいしい部類でした」(小川さん)

また、複数の刑務所を転々とした佐藤さん(40代)は「どの刑務所でもおもちは出ましたが、年々小さくなっていきました」。こちらも予算の問題なのかもしれません。

●お菓子が出ても「食べきれない」

年末年始には、いつもは出ないお菓子も食べられたそうです。

刑務所

高橋さんがいたN刑務所では、大手菓子メーカーの「チョコパイ」が出たといいます。ただ、「食べたら、ほわーんとなってしまいました」。成分表には「酒精」(エチルアルコール)の表示。ふだんアルコールが禁止されており、敏感に反応しすぎたのかもしれません。

またお菓子の量が多すぎて困ったという話も。T刑務所で炊事場係をしていた宮原さん(30代)は「とにかく食べきれないほど大量にあるんです。お腹がすくことがなくなり、ごはんも美味しくなくなりました」と振り返ります。

大量にある理由は、7人とも「不明」とのこと。年末年始だから特別に出してくれている、ということなのかもしれません。

A刑務所にいた菊池さん(40代)は申し訳なさそうに、次のように語りました。

「お菓子が出ても、決められた時間に食べきらなければならず、取っておくことはできませんでした。年末年始は刑務作業も休みでお腹もすかないので、食べきれずに残してしまいました。残飯の量もすごかった…」(菊池さん)

●出所後、13キロ太る

7人のうち6人は出所後、体重が増えたといいます。「中では食事の制限があり、ふだんは味のないものを食べていました。甘いものも滅多に出ませんでした」という小川さんは、出所後の食事が美味しくて、13キロも増えてしまったそうです。

刑務所

クリスマスや年末年始の食事について、法務省にも聞いてみました。矯正局総務課は「パーティーなどの華やかな行事はありませんが、施設によってはクリスマスにチキンや甘いものが出たり、お正月におせち料理が出たりすることもあります。予算の範囲内で献立を考えています」と答えました。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る