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「ついに出ました」 弁護士も続々ツイートした「婚外子訴訟」違憲決定
2013年09月04日 21時16分

明治時代から続いてきた、非嫡出子(婚外子)の相続格差に関する民法の規定に「憲法違反」の判定が下された。民法900条4号では、結婚をしていない男女の間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、法律上の夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の半分としている。しかし、最高裁判所大法廷は9月4日、「法の下の平等を定めた憲法に違反しており、無効」との判断を初めて示した。

最高裁の違憲決定を受け、国会は民法の改正を迫られる。今回のように、法律について最高裁が違憲と判断するのは、これまでで9例目。違憲審査制度ができて65年以上たつが、その歴史のなかでも最高裁の違憲判決・決定はめったにないことだ。「最高裁が違憲判断」という貴重なニュースにツイッターで言及する弁護士も多かった。

●「違憲判決が遅すぎた」

「ついに出ました。婚外子の相続格差の違憲判決。学生時代に授業でやったことがついに現実となった」とツイートしたのは、渡辺輝人弁護士(‏@nabeteru1Q78)。「ついに」という言葉を2回も使っていることから、待望感が伝わってくる。

同じようなニュアンスで、菅野朋子弁護士(‏@kanno_tomoko)は「ようやくですね。反対派の『法律婚の尊重』は、ちょっと視点がずれていると思います」とつぶやいている。さらに強い言葉を使っているのは、谷山智光弁護士(‏@taniyama)だ。「違憲判決が遅すぎた。生まれてきた子にはどうすることもできない事情による差別でしたからね」。

最高裁決定の直前に弁護士ドットコムが実施したアンケートでは、回答した43人のうち95%にあたる41人が「違憲」を支持する姿勢を表明していた。弁護士のあいだでは、「民法900条4号は違憲」というのは共通の見解といってもよい情勢だったようだ。ツイッターでも、最高裁が違憲と判断したことを当然と受け止める空気が強かった。

●「婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」

今回の最高裁決定を受けて、国会は民法改正を迫られることになるが、最高裁に「ノー」を突きつけられるまで放置してきたのは問題だともいえそうだ。たとえば、山口貴士弁護士(‏@otakulawyer)は「当然の結論です。これまで、国会において、婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」とツイートしている。

また法改正について、実務的な問題を指摘している弁護士もいる。高井重憲弁護士‏(@takailaw)は 「非嫡出子の相続分の規定が違憲にされたけど、早く法改正してくれないと今関係する事件は手続き進めようがなくて困るよね。尊属殺のときは検察が事実上起訴しなかったから問題にならなかったらしいけど」と、早期の民法改正の必要性を訴えている。

法律の改正は国会議員の仕事だ。弁護士資格をもつ国会議員の一人、社民党の福島瑞穂参院議員(@mizuhofukushima)は「最高裁は、全員一致で民法の規定は憲法違反だと婚外子差別について決定。全員一致も違憲決定も本当に嬉しい。これから民法改正について頑張ります!」と、ツイッターで決意表明していた。

●最高裁の決定文はネットで読むことができる

野党議員だけではない。同じく弁護士出身で、与党・自民党の柴山昌彦衆院議員(@shiba_masa)は次のようにツイートしている。「最高裁の婚外子差別違憲判決。頭に浮かんだのがかつての尊属殺重罰違憲判決だ。かつての日本の価値観は変わった。一方でかつての常識から考えられない不適切映像の投稿はじめあちこちで見られるモラルの低下。外国での実態も含め、これから社会のあり方を真剣に考えねば」。

なお、今回の最高裁大法廷の決定文は、最高裁のウェブサイトにアップされていて、誰でも読むことができる。そのことを何人かの弁護士がツイッターで、すかさず告知していたが、中村元弥弁護士(@1961kumachin)もその一人だ。「話題の大法廷決定がもうアップされている。こういうときは仕事が早い最高裁。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf

最高裁の「違憲判断」がどのように説明されているのか、決定文を直接読んでみて、そのロジックを確かめてみるのもよいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

明治時代から続いてきた、非嫡出子(婚外子)の相続格差に関する民法の規定に「憲法違反」の判定が下された。民法900条4号では、結婚をしていない男女の間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、法律上の夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の半分としている。しかし、最高裁判所大法廷は9月4日、「法の下の平等を定めた憲法に違反しており、無効」との判断を初めて示した。

最高裁の違憲決定を受け、国会は民法の改正を迫られる。今回のように、法律について最高裁が違憲と判断するのは、これまでで9例目。違憲審査制度ができて65年以上たつが、その歴史のなかでも最高裁の違憲判決・決定はめったにないことだ。「最高裁が違憲判断」という貴重なニュースにツイッターで言及する弁護士も多かった。

●「違憲判決が遅すぎた」

「ついに出ました。婚外子の相続格差の違憲判決。学生時代に授業でやったことがついに現実となった」とツイートしたのは、渡辺輝人弁護士(‏@nabeteru1Q78)。「ついに」という言葉を2回も使っていることから、待望感が伝わってくる。

同じようなニュアンスで、菅野朋子弁護士(‏@kanno_tomoko)は「ようやくですね。反対派の『法律婚の尊重』は、ちょっと視点がずれていると思います」とつぶやいている。さらに強い言葉を使っているのは、谷山智光弁護士(‏@taniyama)だ。「違憲判決が遅すぎた。生まれてきた子にはどうすることもできない事情による差別でしたからね」。

最高裁決定の直前に弁護士ドットコムが実施したアンケートでは、回答した43人のうち95%にあたる41人が「違憲」を支持する姿勢を表明していた。弁護士のあいだでは、「民法900条4号は違憲」というのは共通の見解といってもよい情勢だったようだ。ツイッターでも、最高裁が違憲と判断したことを当然と受け止める空気が強かった。

●「婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」

今回の最高裁決定を受けて、国会は民法改正を迫られることになるが、最高裁に「ノー」を突きつけられるまで放置してきたのは問題だともいえそうだ。たとえば、山口貴士弁護士(‏@otakulawyer)は「当然の結論です。これまで、国会において、婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」とツイートしている。

また法改正について、実務的な問題を指摘している弁護士もいる。高井重憲弁護士‏(@takailaw)は 「非嫡出子の相続分の規定が違憲にされたけど、早く法改正してくれないと今関係する事件は手続き進めようがなくて困るよね。尊属殺のときは検察が事実上起訴しなかったから問題にならなかったらしいけど」と、早期の民法改正の必要性を訴えている。

法律の改正は国会議員の仕事だ。弁護士資格をもつ国会議員の一人、社民党の福島瑞穂参院議員(@mizuhofukushima)は「最高裁は、全員一致で民法の規定は憲法違反だと婚外子差別について決定。全員一致も違憲決定も本当に嬉しい。これから民法改正について頑張ります!」と、ツイッターで決意表明していた。

●最高裁の決定文はネットで読むことができる

野党議員だけではない。同じく弁護士出身で、与党・自民党の柴山昌彦衆院議員(@shiba_masa)は次のようにツイートしている。「最高裁の婚外子差別違憲判決。頭に浮かんだのがかつての尊属殺重罰違憲判決だ。かつての日本の価値観は変わった。一方でかつての常識から考えられない不適切映像の投稿はじめあちこちで見られるモラルの低下。外国での実態も含め、これから社会のあり方を真剣に考えねば」。

なお、今回の最高裁大法廷の決定文は、最高裁のウェブサイトにアップされていて、誰でも読むことができる。そのことを何人かの弁護士がツイッターで、すかさず告知していたが、中村元弥弁護士(@1961kumachin)もその一人だ。「話題の大法廷決定がもうアップされている。こういうときは仕事が早い最高裁。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf

最高裁の「違憲判断」がどのように説明されているのか、決定文を直接読んでみて、そのロジックを確かめてみるのもよいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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