弁護士を中心としたロックバンドが仙台を拠点に活動している。バンドは環境問題や東日本大震災の復興など社会的なテーマを曲に込める。
ただ、弁護士として数々の離婚や男女トラブルを見つめ続けてきただけに、「ラブソングは歌わない」というルールも自分たちに課している。かつてのメンバーのなかにも離婚者がいるという。現実にはシビアな面もあるが、婚姻関係を維持する秘訣を聞いた。
●災害でつらい思いをしている人たちの支えになりたい
バンド「the spring men」は、東日本大震災の翌2012年から本格的に活動をはじめ、メンバーチェンジを繰り返しながら、現在は4人編成で珠玉の音楽を届ける。
名前の由来は、「当時仙台弁護士会会長だった高橋春男さん(故人)からいただいた」という。
現体制のメンバーは、横田由樹さん(ベース)と宮本洋一さん(ドラム)が仙台弁護士会所属の弁護士だ。そして、作詞作曲もこなすバンドの要となる会社員の渡辺日月さん(ボーカル/ギター)と、自営業の横田幸子さん(キーボード)で構成される。
4月に新曲「Sunlight Breaking Through」をリリースした。
「東北では今も震災で大変な思いをしている人がいるけど、いずれ良い方向にかわっていくよというメッセージが込められています」
MVは仙台市の荒浜で撮影。曲の売上は今年2月に発生した岩手県大船渡市の山林火災の被災地に寄付するという。
バンドはメジャーなライブイベントへの出演を目指して、オーディションを受けることもあるという。
●「ラブソング歌わない」「今日も家裁で離婚訴訟に取り組んだ」
生まれも育ちも仙台市の横田さんは、いわゆる街弁として、身近な生活上のトラブルに対応する。
特に離婚相談は多い。取材日も、妻側の代理人として仙台家裁で離婚訴訟に取り組んできた。「夫と離婚したくないという妻の依頼を受任しました」という。
実はバンドは「ラブソングを歌わない」というルールを課している。
離婚訴訟や男女トラブルを扱い続けたことで、「恋愛を歌うのは白々しく感じてしまいますし、とてもじゃないけどラブソングは作れません。それに、世の中にはラブソングもあふれているので他のことも歌いたいんです」
横田さんはメンバーでもある横田幸子さんと結婚生活20周年を迎えようとする夫婦だ。婚姻生活を維持させるには、どんなことに気をつけるべきだろうか。
「私は弁護士で、妻が料理教室の先生で、仕事のつながりはありませんが、一緒に曲をつくっているので、仕事仲間としてのイメージもあります。
彼女は曲作りの才能もある人なのでリスペクトしてます。喧嘩しながらも、お互いにリスペクトすることが婚姻生活を長続きさせる秘訣でしょうかね」