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ライバル会社へ転職した! 前職の「得意先」を奪ったら法律違反?
2013年10月19日 12時30分

転職エージェントサービスを展開する「リクルートキャリア」が9月末に発表した「転職世論調査」。それによると、転職した人に「転職して良かったこと」を聞いたところ、「年収が上がった」が44.4%で、最も多かったという(複数回答)。2位は「やりたい仕事・分野を任された」(39.2%)、3位は「時間・精神的なゆとりができた」(37.9%)だったそうだ。

終身雇用制が崩壊したと言われて久しいが、転職は多くの勤め人にとって、魅力的なものになっているのかもしれない。だが一方で、ライバル会社から転職の「誘い」があって悩んでいる人もいるようだ。

ライバル会社の誘いを受けて転職すると、元の会社の「顧客」を奪いにいくことが仕事になる場合もある。それは、今まで勤めていた会社の財産である「営業ノウハウ」や「顧客情報」を持ち出すことになるようにも見える。

転職先のライバル会社としては、利益に直結する「その人の得意先」がほしいという面があるかもしれないが、法的に問題はないのか。企業法務にくわしい佐久間篤夫弁護士に聞いた。

転職エージェントサービスを展開する「リクルートキャリア」が9月末に発表した「転職世論調査」。それによると、転職した人に「転職して良かったこと」を聞いたところ、「年収が上がった」が44.4%で、最も多かったという(複数回答)。2位は「やりたい仕事・分野を任された」(39.2%)、3位は「時間・精神的なゆとりができた」(37.9%)だったそうだ。

終身雇用制が崩壊したと言われて久しいが、転職は多くの勤め人にとって、魅力的なものになっているのかもしれない。だが一方で、ライバル会社から転職の「誘い」があって悩んでいる人もいるようだ。

ライバル会社の誘いを受けて転職すると、元の会社の「顧客」を奪いにいくことが仕事になる場合もある。それは、今まで勤めていた会社の財産である「営業ノウハウ」や「顧客情報」を持ち出すことになるようにも見える。

転職先のライバル会社としては、利益に直結する「その人の得意先」がほしいという面があるかもしれないが、法的に問題はないのか。企業法務にくわしい佐久間篤夫弁護士に聞いた。

●顧客情報の利用は「不正競争防止法」に違反する可能性あり

「一般に、勤務先での営業活動などの業務に関連して入手した『営業ノウハウ』や、勤務先の取引先である会社名やその住所、電話番号などの『顧客情報』は、不正競争防止法が定義する『営業秘密』に該当すると言えます。

同法律上、営業秘密は『秘密として管理されている事業活動に有用な営業上の情報で、公然と知られていないもの』と定義されています。

不正競争防止法は、『不正の利益を得る目的』や『営業秘密の保有者に損害を加える目的』で、営業秘密を使用したり開示したりする行為を『不正競争』の1つに定義しています」

つまり転職先で、前の勤務先の営業秘密を利用すれば、不正競争防止法違反になる可能性があるということだ。もし違反とされた場合は、どうなってしまうのだろうか。

●転職先が「不正の利益」を得たと認定されると・・・

「転職者が前の勤務先時代に入手した営業ノウハウや顧客情報を使って、現在の勤務先が顧客を増やせば、現在の勤務先は『不正の利益を得た』と言えます。

そうなれば、前勤務先は、現在の勤務先に対して、こうした不正競争の差止請求や損害賠償請求をすることができます」

まずは、「そうした行為を辞めろ」「損害賠償金を払え」と、前勤務先に現在の勤務先が訴えられる可能性があるということだ。また、同法違反となれば、「個人」や「会社」に対して、刑事罰が科される可能性もある。

「こうした不正競争をした者には、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金または双方が科せられ、そのような者を雇っている会社自体にも3億円以下の罰金が科せられる場合もあります。

また、転職前から転職先との間で前勤務先の営業秘密の持ち出しを約束して、転職後の勤務先で前勤務先の営業秘密を使ったり、転職後の勤務先に前勤務先の営業秘密を開示した場合には、転職先が日本国外の会社であっても、日本の法律で罰することができることになっています」

佐久間弁護士はこのように注意を促していた。ライバル企業に転職するような場合は、こうした営業秘密の取扱いには十分注意し、法律違反を犯すことのないよう気をつけなければならないだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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