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住宅ローン減税「15年間に延長」の可能性…損しない購入時期は?
2018年11月26日 16時59分

現行で10年となっている「住宅ローン減税」を受けられる期間が、最大15年に延びる可能性があることが報じられている。2019年10月に消費税の税率が10%へと引き上げられるにあたっての措置だという。

マイホームの購入を考えている層にとって気になる話題だが、「消費税8%・住宅ローン減税は10年」と「消費税10%・住宅ローン減税は15年」とでは、どちらがメリットが大きいのか。仮のケースを設定し、不動産鑑定士でもある冨田建税理士に試算してもらった。

<試算条件>

東京都世田谷区の新築戸建て(土地5000万円、建物2000万円)、家族は給与所得者の夫=年収1200万円(毎年の所得税は40万円以上)、妻=専業主婦で収入なし、未就学児ひとり、住民税は考慮しない

現行で10年となっている「住宅ローン減税」を受けられる期間が、最大15年に延びる可能性があることが報じられている。2019年10月に消費税の税率が10%へと引き上げられるにあたっての措置だという。

マイホームの購入を考えている層にとって気になる話題だが、「消費税8%・住宅ローン減税は10年」と「消費税10%・住宅ローン減税は15年」とでは、どちらがメリットが大きいのか。仮のケースを設定し、不動産鑑定士でもある冨田建税理士に試算してもらった。

<試算条件>

東京都世田谷区の新築戸建て(土地5000万円、建物2000万円)、家族は給与所得者の夫=年収1200万円(毎年の所得税は40万円以上)、妻=専業主婦で収入なし、未就学児ひとり、住民税は考慮しない

●「15年に延長」、大きなメリット

ーー住宅ローン減税とはどのようなものでしょうか

「住宅ローン減税は、一定の場合に住宅ローン等の年末残高の合計額の1%(今年取得の場合)を居住の用に供した年分以後10年間について、各年分の所得税額から控除できる住宅購入を後押しする税制面の優遇制度です。ただし、控除額の上限があり、居住の用に供したのが今年なら40万円(認定長期優良住宅等は50万円)です」

ーーざっくり言うとどういうことですか

「はい。ざっくり言うと、住宅ローンを組んでマイホームを買った際に、返済を始めてから10年間、納めた所得税が戻ってくる制度です。いくら戻ってくるかは納めた所得税の額や住宅ローンの残高に応じて変わってくるので一概には言えませんが、多いひとだと年間40万円戻ってきます」

ーー消費税はどうかかってくるのか教えてください

「新築戸建住宅を購入した場合、土地に消費税は課されず、建物にのみ消費税が課されます。つまり、購入額のうち建物価格の比率を下げた方が有利です。ただ、0%にすると『実態を反映していない』として税務署に怒られるので、建物の原価相当額だけ消費税の課税対象とする事が多いですね」

ーー上述の条件をもとに考えると、「消費税8%・住宅ローン減税は10年」と「消費税10%・住宅ローン減税は15年」とでは、どちらが有利でしょうか

「返済ペースなどによっても結論は異なりますが、消費税は建物価格の8%で160万円、10%で200万円のため40万円の増税です。なので、11~15年目に所得税負担が十分にあり毎年のローン残高合計が4000万円以上残っているなら、金利負担や物価変動を無視すると『消費税10%・住宅ローン減税は15年』が有利ですね。

単純計算で、消費税の増税により40万円負担は増えるものの、住宅ローン減税を受けられる期間が5年延びることは大きいです。5年にわたって、毎年最大40万円の控除が受けられるからです(厳密には、このほか復興特別所得税もわずかに影響する)。

もっとも、税理士としてはつい節税の話をしたくなりますが、不動産鑑定士としては細かい節税よりその額を払うに値する住宅を見つける方が大切じゃない?と思ってしまいます」

【取材協力税理士】

冨田 建(とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士

42都道府県で不動産鑑定業務経験あり。著書執筆や雑誌・会報等に寄稿の他、何度も新聞広告に顔写真掲載の上で不動産会社様で講演。自作曲「ふどうさんのうた」で公認会計士協会東京会音楽祭優勝。11月中に制作中の「ぜいりしのうた」の動画をネットでアップする予定。

事務所名 :冨田建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所

事務所URL:http://tomitacparea.co.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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