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既婚者が「キスフレ」を作ったら「不倫」になってしまうのか?
2013年05月13日 17時15分

「キスはするけど、セックスはしない友達」を「キスフレ」と呼ぶそうだ。都市伝説かと思っていたが、サイバーエージェントが運営する女性向け匿名掲示板サービス「GIRL’S TALK」のアンケートで、「『キスフレ』がいるか」という質問に対して36%の女性が「いる/いたことがある」と答えたという。

そこで筆者も周囲の女性に「キスフレ」はいるかと聞いてみたが、何とも怪訝な顔で見つめられただけだった。諦めてネットで検索してみると、確かに話題にはなっているようだ。真偽不明ではあるが、キスフレが流行る理由や、キスフレを持つ女性の証言など、関連する話題を扱ったブログなどがいくつも見つかった。

だが、先の調査によると、「キスフレとの関係が真剣な恋愛に発展する」とした人はわずか25%。「キスフレのことは『好き』?」という質問にはなんと64%がNOと回答していて、「キスフレ」のなんとも微妙で、そこはかとなく寂しげな立ち位置がうかがい知れる。

その一方で、81%の女性が、キスフレは「浮気になる」と回答している。では、もし既婚者が「キスフレ」を作ったら、法律的にはどう扱われるのだろうか。「キスフレ」は不倫不貞行為にあたり、損害賠償や離婚の根拠になり得るのだろうか。男女問題に詳しい冨本和男弁護士に聞いた。

●不貞行為とは、配偶者以外の者と「性的関係」を結ぶこと

「既婚者が『不貞な行為』(民法770条1項1号)をおこなったり、夫婦間に『婚姻を継続し難い重大な事由』(同法770条1項5号)が生じれば、離婚や慰謝料の支払いといった法律的なリスクにつながります」

冨本弁護士はこのように説明する。では、キスフレは「不貞な行為」や「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるのだろうか。

「判例によれば、不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と『性的関係』を結ぶことをいいます。ここで注意すべきは、『性的関係』という表現がされていることです。つまり、『セックス(性交)』に限定しているわけではありません」

それでは、判例がいう「性的関係」とは、具体的にどんな関係なのか。

●「キスフレ」でも、不貞行為にあたる可能性がある

「この『性的関係』をめぐっては、広めに捉える見解が有力です。この見解によると、男女のキスはもちろん、同性同士のキスも『性的関係』にあたり、『不貞な行為』となる可能性があります。このような観点からは、『キスフレ』も不貞行為にあたり、損害賠償や離婚の根拠になり得ると考えられます」

さらに、冨本弁護士は「仮に不貞行為と認められなくとも、損害賠償や離婚の根拠になり得るといえるでしょう」と付け加える。

「なぜなら、キスフレは配偶者以外の者との親密な交際ですから、夫婦関係が破綻する原因としては十分であり、『婚姻を継続し難い重大な事由』にあたるからです」

冨本弁護士によると、最近の判例で、配偶者の交際相手だったアメリカ人に損害賠償を請求した事案があるという。

「その訴訟で、裁判所は『被告がアメリカ人であることからすれば、抱擁やキスをもって不貞行為と評価することもできない』として原告の請求を退けたのですが、被告が日本人であれば不貞行為と認定された可能性もあったでしょう」

つまり、キスだけの関係である「キスフレ」だとしても、離婚を突きつけられる原因になる可能性があるというわけだ。正式なパートナーがいる人は、安易に「キスフレ」の誘いにのらないように、気を付けたほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

「キスはするけど、セックスはしない友達」を「キスフレ」と呼ぶそうだ。都市伝説かと思っていたが、サイバーエージェントが運営する女性向け匿名掲示板サービス「GIRL’S TALK」のアンケートで、「『キスフレ』がいるか」という質問に対して36%の女性が「いる/いたことがある」と答えたという。

そこで筆者も周囲の女性に「キスフレ」はいるかと聞いてみたが、何とも怪訝な顔で見つめられただけだった。諦めてネットで検索してみると、確かに話題にはなっているようだ。真偽不明ではあるが、キスフレが流行る理由や、キスフレを持つ女性の証言など、関連する話題を扱ったブログなどがいくつも見つかった。

だが、先の調査によると、「キスフレとの関係が真剣な恋愛に発展する」とした人はわずか25%。「キスフレのことは『好き』?」という質問にはなんと64%がNOと回答していて、「キスフレ」のなんとも微妙で、そこはかとなく寂しげな立ち位置がうかがい知れる。

その一方で、81%の女性が、キスフレは「浮気になる」と回答している。では、もし既婚者が「キスフレ」を作ったら、法律的にはどう扱われるのだろうか。「キスフレ」は不倫不貞行為にあたり、損害賠償や離婚の根拠になり得るのだろうか。男女問題に詳しい冨本和男弁護士に聞いた。

●不貞行為とは、配偶者以外の者と「性的関係」を結ぶこと

「既婚者が『不貞な行為』(民法770条1項1号)をおこなったり、夫婦間に『婚姻を継続し難い重大な事由』(同法770条1項5号)が生じれば、離婚や慰謝料の支払いといった法律的なリスクにつながります」

冨本弁護士はこのように説明する。では、キスフレは「不貞な行為」や「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるのだろうか。

「判例によれば、不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と『性的関係』を結ぶことをいいます。ここで注意すべきは、『性的関係』という表現がされていることです。つまり、『セックス(性交)』に限定しているわけではありません」

それでは、判例がいう「性的関係」とは、具体的にどんな関係なのか。

●「キスフレ」でも、不貞行為にあたる可能性がある

「この『性的関係』をめぐっては、広めに捉える見解が有力です。この見解によると、男女のキスはもちろん、同性同士のキスも『性的関係』にあたり、『不貞な行為』となる可能性があります。このような観点からは、『キスフレ』も不貞行為にあたり、損害賠償や離婚の根拠になり得ると考えられます」

さらに、冨本弁護士は「仮に不貞行為と認められなくとも、損害賠償や離婚の根拠になり得るといえるでしょう」と付け加える。

「なぜなら、キスフレは配偶者以外の者との親密な交際ですから、夫婦関係が破綻する原因としては十分であり、『婚姻を継続し難い重大な事由』にあたるからです」

冨本弁護士によると、最近の判例で、配偶者の交際相手だったアメリカ人に損害賠償を請求した事案があるという。

「その訴訟で、裁判所は『被告がアメリカ人であることからすれば、抱擁やキスをもって不貞行為と評価することもできない』として原告の請求を退けたのですが、被告が日本人であれば不貞行為と認定された可能性もあったでしょう」

つまり、キスだけの関係である「キスフレ」だとしても、離婚を突きつけられる原因になる可能性があるというわけだ。正式なパートナーがいる人は、安易に「キスフレ」の誘いにのらないように、気を付けたほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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