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ノルマ不達成の社員に「コスプレ」命じた上司に賠償命令 「慰謝料」に相場はある?
2013年07月19日 19時20分

「会社でコスプレを強要され精神的苦痛を受けた」と、化粧品販売会社に勤めていた元社員(60代女性)が、会社と上司に対して約330万円の損害賠償を請求していた裁判が7月2日、和解で決着した。今年2月の第1審判決では、22万円の損害賠償が認められたが、女性は控訴していた。

2009年10月、この女性は商品の販売数が目標に達しなかった「罰」として、会社の研修会で長時間にわたり、易者の衣装やうさぎ耳のカチューシャを身につけることを求められた。その姿は撮影され、翌月の研修会でスライド上映されたという。女性は、12月に「うつ状態を伴う身体表現性障害」と診断され、そのまま会社を退職した。

ノルマ不達成のペナルティが「コスプレ」というのはあまりにも非常識だが、今までは「シャレ」ですんでいて問題にならなかったのかもしれない。恥ずかしいコスプレをさせられることによる苦痛は人によりそれぞれだろう。またこの件では、請求金額と第一審で認容された金額に大きな差が出ている。精神的苦痛の賠償額はどのようにして決められるのだろうか。高木由美子弁護士に聞いた。

●「嫌がらせ」の慰謝料は、嫌がらせの内容や期間、回数、継続性などが考慮される

「実は、精神的苦痛、つまり慰謝料の額を決める際に裁判所が考慮するべき事情については、特に制限も基準もありません。そのため、裁判所はあらゆる事情を考慮できます」

――では金額については、何らかの基準や相場のようなものはないのだろうか。

「たとえば、事故等で負傷し後遺症を負った場合や死亡した場合の慰謝料は、明確に類型化、基準化されています。裁判所はその基準に従って判断します。

一方で、そういった明確な基準がない場合、裁判所は通常、過去にあった同じような事件の判例を参考にして、金額を決めることになります」

――今回のような事件の場合、何らかの基準は?

「本件の『コスプレ強要』は、明らかに嫌がらせ行為と言えるため、そういった事件の判例が参考になるでしょう。

嫌がらせ行為についての判例を見ますと、慰謝料額の決定に際しては、嫌がらせをされた期間・回数や、それが継続的だったかどうか、どんな内容の嫌がらせだったかなどが考慮されています」

――では、今回の「金額」をどうみる?

「一審判決で示された慰謝料の額は比較的少額でした。たとえば『コスプレ強要』が継続的に行われていたり、コスプレの内容が水着のようにセクハラ的要素が強かったりすれば、慰謝料の額は実際に一審で認められた額よりも高くなっていた可能性があります」

今回、コスプレをさせられた女性は第1審判決の認容額に不満だったようだが、賠償自体は認められている。このようなペナルティは慰謝料の対象になるということだ。そのことは、覚えておいてよいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

「会社でコスプレを強要され精神的苦痛を受けた」と、化粧品販売会社に勤めていた元社員(60代女性)が、会社と上司に対して約330万円の損害賠償を請求していた裁判が7月2日、和解で決着した。今年2月の第1審判決では、22万円の損害賠償が認められたが、女性は控訴していた。

2009年10月、この女性は商品の販売数が目標に達しなかった「罰」として、会社の研修会で長時間にわたり、易者の衣装やうさぎ耳のカチューシャを身につけることを求められた。その姿は撮影され、翌月の研修会でスライド上映されたという。女性は、12月に「うつ状態を伴う身体表現性障害」と診断され、そのまま会社を退職した。

ノルマ不達成のペナルティが「コスプレ」というのはあまりにも非常識だが、今までは「シャレ」ですんでいて問題にならなかったのかもしれない。恥ずかしいコスプレをさせられることによる苦痛は人によりそれぞれだろう。またこの件では、請求金額と第一審で認容された金額に大きな差が出ている。精神的苦痛の賠償額はどのようにして決められるのだろうか。高木由美子弁護士に聞いた。

●「嫌がらせ」の慰謝料は、嫌がらせの内容や期間、回数、継続性などが考慮される

「実は、精神的苦痛、つまり慰謝料の額を決める際に裁判所が考慮するべき事情については、特に制限も基準もありません。そのため、裁判所はあらゆる事情を考慮できます」

――では金額については、何らかの基準や相場のようなものはないのだろうか。

「たとえば、事故等で負傷し後遺症を負った場合や死亡した場合の慰謝料は、明確に類型化、基準化されています。裁判所はその基準に従って判断します。

一方で、そういった明確な基準がない場合、裁判所は通常、過去にあった同じような事件の判例を参考にして、金額を決めることになります」

――今回のような事件の場合、何らかの基準は?

「本件の『コスプレ強要』は、明らかに嫌がらせ行為と言えるため、そういった事件の判例が参考になるでしょう。

嫌がらせ行為についての判例を見ますと、慰謝料額の決定に際しては、嫌がらせをされた期間・回数や、それが継続的だったかどうか、どんな内容の嫌がらせだったかなどが考慮されています」

――では、今回の「金額」をどうみる?

「一審判決で示された慰謝料の額は比較的少額でした。たとえば『コスプレ強要』が継続的に行われていたり、コスプレの内容が水着のようにセクハラ的要素が強かったりすれば、慰謝料の額は実際に一審で認められた額よりも高くなっていた可能性があります」

今回、コスプレをさせられた女性は第1審判決の認容額に不満だったようだが、賠償自体は認められている。このようなペナルティは慰謝料の対象になるということだ。そのことは、覚えておいてよいだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

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