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若手弁護士は「理論書」よりも「実務書」が好き――裁判所ビルの専門書店に聞く
2015年02月08日 09時34分

誰かをよく深く知りたいなら、本棚をみるのがてっとり早い。法律のプロたちは今、何を知りたがっているのか。東京地裁や東京高裁が入る裁判所合同庁舎の地下1階にある「至誠堂書店」を訪ねた。

至誠堂書店は霞ヶ関に店を構えて約50年の老舗だ。霞ヶ関店の店長で、専務取締役の鈴木廣明氏は「法律家にとって『理論と実務』はどちらも欠かせませんので、本選びにもその両輪が反映されます」と話す。

誰かをよく深く知りたいなら、本棚をみるのがてっとり早い。法律のプロたちは今、何を知りたがっているのか。東京地裁や東京高裁が入る裁判所合同庁舎の地下1階にある「至誠堂書店」を訪ねた。

至誠堂書店は霞ヶ関に店を構えて約50年の老舗だ。霞ヶ関店の店長で、専務取締役の鈴木廣明氏は「法律家にとって『理論と実務』はどちらも欠かせませんので、本選びにもその両輪が反映されます」と話す。

●ランキング1位はベテラン弁護士の『訴訟の心得』

最近の至誠堂霞ヶ関店の売れ筋(1月23日~2月6日)は、次のような顔ぶれだ。安くて2000円、高いものは6000円という高価な専門書が並ぶ。

1位 『訴訟の心得 円滑な進行のために』(中村直人著/中央経済社/2200円)

2位 『有利な心証を勝ち取る 民事訴訟遂行』(北浜法律事務所・外国法共同事業/清文社/2200円)

3位 『和解交渉と条項作成の実務』(田中豊著/学陽書房/3000円)

4位 『子の奪い合い紛争の調停・裁判の実務」(梶村太一著/日本加除出版/4200円)

5位 『〔新版〕家事事件の申立書式と手続』(長山義彦、篠原久夫、浦川登志夫、西野留吉、岡本和雄著/新日本法規出版株式会社/6050円)

霞ヶ関店に勤務して20年になる鈴木さんは、ここ数年、ある変化を感じている。

「実務書の売り上げが増えていますね。1位の『訴訟の心得』は、訴訟上のノウハウやマナーを丁寧に解説している実務書です。著者がベテラン弁護士の中村直人さんだから買う、というファンも多く、幅広い層に売れています」

2、3位は、購入者に若い弁護士たちの姿が目立つ。

「今まで明文化されず曖昧だったことを、きちんと解説するような実務書が、よく売れています。特に若手からの需要が増しているようです」

一方、『理論と実務』の〝理論〟にあたる、体系本は世代を問わずに売れていく。

「実務書は4000円くらい、体系書は5000円くらいから1万円を超える作品もあります。体系書は、専門外の分野でもこれだけ読んでおけばいい、という理由で買われるのだと思いますね」

●法改正のあと「解説本」が売れ筋に

法律の専門出版社というとニッチなイメージがあるが、その数は約50社もあり、新刊は毎月300冊にのぼるという。例年、12月から初夏にかけては、新刊ラッシュになるのも特徴だ。

「確定申告や株主総会を控えた時期は、それに関連した書籍が多く出てきます。また、1月は司法修習生が修習を終えて就職するときです。そのため、実務本はよく動きますね」

こうした〝季節本〟以外にも、鈴木さんが忙しくなる時期がある。

「国会で法改正が成立した際、さらに関係法令が出た際の2回です。それぞれのタイミングで、改正箇所の『解説』、それを詳しく説明した『Q&A』、最後に『体系本』が、スピード勝負で刊行されていきます」

最近では、2014年夏の会社法改正があげられる。いくつも本が出ているが、なかでも売れているのが、会社法の大家である江頭憲治郎・東京大名誉教授の『株式会社法 第5版』(有斐閣/5600円)だ。昨年夏の発売から半年たった今も、店内の目立つコーナーに平積みで置かれている。5月の施行まで法律系出版社や書店では慌ただしい日が続きそうだ。

裁判所の下にある至誠堂書店には連日、弁護士や裁判官、書記官らが、ひっきりなしに訪れる。法律書がメインだが、息抜き用の一般週刊誌やファッション誌も置かれており、一般の客も歓迎とのことだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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