地方競馬の浦和競馬場で今年デビューした新人騎手に初勝利をもたらした馬が、ちょっとした話題を呼んでいる。
その名も「スモモモモモモモモ」。一見しただけでは、どこで区切ればいいかすらわからない、インパクト抜群の「珍名馬」だ。
競馬ブームが続く中、こうした個性あふれる馬名にも注目があつまる。そもそも競走馬の名前にはどのようなルールがあるのだろうか。(弁護士ドットコムニュース・玉村勇樹)
⚫︎デビュー時から話題を呼んだ「スモモモモモモモモ」
地方競馬の大井や浦和競馬場などで、これまでに51戦4勝の成績を収めているスモモモモモモモモ。名前の由来は「スモモも桃も桃」という言葉遊びからきている。
そのユニークな名前は、デビュー直後から話題を呼び、初勝利を挙げた際にテレビで取り上げられるなど、注目を集めてきた。
⚫︎紛らわしい名前や広告目的の名前はNG
実は、競走馬の名前にはルールがある。一つは「2から9文字以内でつける」というものだ。
他にも、さまざまな制約があり、日本の競走馬の馬名管理をおこなう公益財団法人「ジャパン・スタッドブック・インターナショナル」による馬名登録実施基準では、アルファベットや数字をカタカナにしただけや公序良俗に反するなど「奇妙な馬名」、「父馬や母馬、かつて活躍した競走馬と同じ名前」は基本的に登録できないとされている。
かつて「ニバンテ」という名前が、実況放送や成績掲載などに支障をきたすとして却下されたケースもあるそうだ。
また、歌手の北島三郎さんが所有していたことで有名なG1・7勝馬「キタサンブラック」の「キタサン」は、特定の馬主の馬に共通してつけられる冠名。この冠名だけの名づけも認められていない。
さらに明らかに広告宣伝を目的とした会社名や商品名などと同じ名称も使えないとされている。
⚫︎えっ大丈夫なのという名前が認められたケースも
制限がある一方で、えっ大丈夫なの?と思わせるような名前も存在する。
その代表例と言えるのが「キンタマーニ」。下ネタと誤解されそうだが、JRAの競走馬情報によると、インドネシア語で「神の山」を意味する名前だ。そのユニークさから話題を呼び、南関東の地方競馬場で活躍した実績もある。
中央競馬では「シランケド」や「オニャンコポン」といった珍名馬が重賞を制するなど、現役として第一線で活躍している。
このようにルールは定められているものの、比較的自由に競走馬の名づけは認められているようだ。
⚫︎日本ダービーの有力馬にも「珍名馬」が
6月1日の「日本ダービー」にも珍名馬が出走を予定している。
その名も「ショウヘイ」。JRAによると、由来は「人名より」となっているが、米ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を彷彿とする名前から、デビュー時から人気を集めている。
実力も一級品で、前走のG2京都新聞杯を快勝。ダービーではトップジョッキーのクリストフ・ルメール騎手が騎乗を予定していることからも注目の一頭だ。
ちなみに大谷選手関係では「デコピン」という馬も中央競馬で走っており、初勝利を目指し、奮闘している。
ユニークな名付けと、その裏にあるルールを知ることで、競馬の楽しみ方がもう一段深まるかもしれない。