11380.jpg
顧客の個人情報が入った「会社携帯」をなくした!「従業員」に法的ペナルティはあるか
2014年04月05日 13時15分

仕事に生活に、なくてはならない携帯電話やスマートフォン。どこにでも持ち歩くものだけに、何かのはずみで「落としてしまう」ことがある。誰かが預かったり、警察に届けたりしてくれれば良いが、手を尽くして探しても見つからないこともあるだろう。

その携帯が「会社のもの」だった場合、話はさらにややこしくなる。会社から貸与されている携帯となれば、取引先の氏名や電話番号、さらにはメールのやり取りなど、外部に出せない情報も入っているだろう。

個人情報の入った会社携帯をうっかりなくしてしまった場合、従業員が法的ペナルティを課せられる可能性はあるのだろうか。佐久間篤夫護弁士に話を聞いた。

仕事に生活に、なくてはならない携帯電話やスマートフォン。どこにでも持ち歩くものだけに、何かのはずみで「落としてしまう」ことがある。誰かが預かったり、警察に届けたりしてくれれば良いが、手を尽くして探しても見つからないこともあるだろう。

その携帯が「会社のもの」だった場合、話はさらにややこしくなる。会社から貸与されている携帯となれば、取引先の氏名や電話番号、さらにはメールのやり取りなど、外部に出せない情報も入っているだろう。

個人情報の入った会社携帯をうっかりなくしてしまった場合、従業員が法的ペナルティを課せられる可能性はあるのだろうか。佐久間篤夫護弁士に話を聞いた。

●個人情報流出は会社の責任問題になりうる

「顧客の個人情報が保存されている会社所有の携帯やスマートフォンの紛失があった場合の法的責任は、次の2つが考えられるでしょう。

(1)紛失した機材に保存されていた『個人情報の本人』に対する責任

(2)機材を紛失した人が所属する『会社』に対する責任」

佐久間弁護士はこのように指摘する。それぞれ、どうなるのだろうか。

「(1)の個人情報の本人に対する責任については、通常は『会社』が負うことになります。

なぜなら、会社がその本人との間の契約により個人情報を預かったにもかかわらず、その契約上の義務に違反して、個人情報を紛失したことになるからです。

したがって、個人情報が悪用されて具体的な損害が発生したような場合には、会社が契約違反による損害賠償責任を負う可能性があります。

また、このような場合、個人情報の本人は機材を紛失した人に対しても、契約関係にはないものの損害賠償責任を追及できる可能性はあります。

ただ、会社が損害賠償に応じれば、従業員個人に対して重ねて損害賠償を請求することはできません」

佐久間弁護士によると、こうした場合は通常、個人ではなくて会社の責任が追及されるということだ。

●「始末書」レベルで済むことが多そうだが・・・

「次に(2)ですが、機材を紛失した人(従業員)は、会社の資産を紛失したわけですから、理論的には会社に対して、少なくともその機材の価額の損害賠償責任を負う可能性があります。

さらに、会社が個人情報の本人に対して損害賠償に応じた場合は、会社が賠償に応じた分の損害の補てんを求められる可能性もあります。

ただ、会社の規模や機材の価値にもよりますが、こうした場合は、よほどの不注意か悪意をもって紛失した場合でなければ、通常は始末書を書かされる程度で終わることが多いのではないかと思います」

つまり、携帯をなくした従業員個人に対する会社側からの責任追及は、通常は社内的なものにとどまるだろうという見解だ。

「もっとも、パスワードや暗号化の設定など、会社が指示した情報管理方法を守っていなかったために、機材の紛失が、個人情報の本人の具体的な損害発生につながったような場合には、会社側の対応も変わってくる可能性があります」

佐久間弁護士はこのように述べて、会社貸与の携帯電話やスマートフォンの取扱いに気を配るよう注意を呼びかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る