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妊娠中に「夫の浮気」が発覚、妻はどんな請求ができるか?
2013年02月16日 11時48分

恋愛や結婚といった男女関係は、うまく行っているときはいいが、浮気や不倫がばれたら大変で、場合によっては裁判沙汰にまで発展する。恋愛に関する生々しい告白が投稿されている女性向けの匿名掲示板サービス「GIRL’S TALK」に寄せられたケースをもとに、どんな法律問題が生じることが想定されるのか、考えてみたい。

●「妊娠中に、夫が会社の女性と浮気しました」

「妊娠中に夫が浮気していたことが発覚しました。相手は夫と同じ会社で同じ部署にいる年上の女性です。発覚後には相手の女性とも電話で話しました。夫にこれからどうしたいか聞いたところ、『責任をとって別れたい』と言われました。私は『責任を取るなら、別れることじゃない』と言いました。夫から『じゃあこれから何事もなかったかのようにしよう』と言われ、腑に落ちない結論となりました。

その後も夫の浮気は続いていたようで、夫が浮気相手に送っているメールを見てしまいました。『一日だって忘れたことがないって言ってくれて嬉しかった』というようなメールを夫が送っていて、ショックでした。子供のことを考えると別れたくなく、私自身も別れたくなかったのですが、別れた方が良いのか悩んでいます」(GIRL’S TALKの投稿を要約)

このように、妊娠中に夫が浮気をしていたことが発覚した場合、妻からはどのような法的請求をすることが考えられるのだろうか。荒川和美弁護士に聞いた。

●「二度と不貞をしない」という誓約書を求めることも

荒川弁護士によると、離婚をするかしないかで、夫に対する請求の内容が変わってくるという。

「離婚をしないという選択をした場合、妻は夫に対して、『女性と別れること』『二度と不貞をしないこと』『今後もし離婚となった場合に○○円の慰謝料を支払うこと』などの誓約書を作ることが考えられます。

一方、離婚する場合は、夫に対して、子供の親権、養育費、財産分与、慰謝料を請求します」

その場合、夫が離婚に応じなければ、「調停や訴訟が必要なこともあります」という。

また夫だけでなく、その浮気相手の女性に対しても、慰謝料を請求することが考えられる。これも、離婚しない場合とする場合で、金額が変わってくるようだ。

慰謝料の金額は、離婚しない場合50万円から100万円程度、離婚する場合は、夫と女性の両者で200万円から300万円の実例が多いようです」

●「浮気の責任」を追及するときに注意するべきポイントは?

では、妻が浮気の責任を相手女性に追及しようとするとき、注意したほうがいいポイントはあるのだろうか。荒川弁護士は次のように説明する。

「夫婦関係の状況によっては、不貞女性に対して慰謝料が認められないこともあります。

平成8年(1996年)3月26日の最高裁判決は婚姻関係が既に破綻していた場合には『権利又は法的保護に値する利益があるとはいえない』として、慰謝料の請求を認めませんでした。

したがって、夫に過去にも不貞があるとか、家出やDVがある場合などには注意が必要です」

「浮気は男の甲斐性」あるいは「不倫は文化」という言葉もあるが、法律の世界ではそのような主張は通らない。浮気の代償は、夫にとっても相手女性にとっても決して小さくないということを肝に銘じておくしかないようだ。

(弁護士ドットコムニュース) 

恋愛や結婚といった男女関係は、うまく行っているときはいいが、浮気や不倫がばれたら大変で、場合によっては裁判沙汰にまで発展する。恋愛に関する生々しい告白が投稿されている女性向けの匿名掲示板サービス「GIRL’S TALK」に寄せられたケースをもとに、どんな法律問題が生じることが想定されるのか、考えてみたい。

●「妊娠中に、夫が会社の女性と浮気しました」

「妊娠中に夫が浮気していたことが発覚しました。相手は夫と同じ会社で同じ部署にいる年上の女性です。発覚後には相手の女性とも電話で話しました。夫にこれからどうしたいか聞いたところ、『責任をとって別れたい』と言われました。私は『責任を取るなら、別れることじゃない』と言いました。夫から『じゃあこれから何事もなかったかのようにしよう』と言われ、腑に落ちない結論となりました。

その後も夫の浮気は続いていたようで、夫が浮気相手に送っているメールを見てしまいました。『一日だって忘れたことがないって言ってくれて嬉しかった』というようなメールを夫が送っていて、ショックでした。子供のことを考えると別れたくなく、私自身も別れたくなかったのですが、別れた方が良いのか悩んでいます」(GIRL’S TALKの投稿を要約)

このように、妊娠中に夫が浮気をしていたことが発覚した場合、妻からはどのような法的請求をすることが考えられるのだろうか。荒川和美弁護士に聞いた。

●「二度と不貞をしない」という誓約書を求めることも

荒川弁護士によると、離婚をするかしないかで、夫に対する請求の内容が変わってくるという。

「離婚をしないという選択をした場合、妻は夫に対して、『女性と別れること』『二度と不貞をしないこと』『今後もし離婚となった場合に○○円の慰謝料を支払うこと』などの誓約書を作ることが考えられます。

一方、離婚する場合は、夫に対して、子供の親権、養育費、財産分与、慰謝料を請求します」

その場合、夫が離婚に応じなければ、「調停や訴訟が必要なこともあります」という。

また夫だけでなく、その浮気相手の女性に対しても、慰謝料を請求することが考えられる。これも、離婚しない場合とする場合で、金額が変わってくるようだ。

慰謝料の金額は、離婚しない場合50万円から100万円程度、離婚する場合は、夫と女性の両者で200万円から300万円の実例が多いようです」

●「浮気の責任」を追及するときに注意するべきポイントは?

では、妻が浮気の責任を相手女性に追及しようとするとき、注意したほうがいいポイントはあるのだろうか。荒川弁護士は次のように説明する。

「夫婦関係の状況によっては、不貞女性に対して慰謝料が認められないこともあります。

平成8年(1996年)3月26日の最高裁判決は婚姻関係が既に破綻していた場合には『権利又は法的保護に値する利益があるとはいえない』として、慰謝料の請求を認めませんでした。

したがって、夫に過去にも不貞があるとか、家出やDVがある場合などには注意が必要です」

「浮気は男の甲斐性」あるいは「不倫は文化」という言葉もあるが、法律の世界ではそのような主張は通らない。浮気の代償は、夫にとっても相手女性にとっても決して小さくないということを肝に銘じておくしかないようだ。

(弁護士ドットコムニュース) 

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