11604.jpg
マイナンバーカードとポイントカードが連携? リスクはないのか
2016年01月28日 11時52分

今年から運用が始まったマイナンバー制度。そこで使われる「個人番号カード(マイナンバーカード)」に、民間企業のポイントカードや図書館カードなどの機能も追加して、それらのカードを一本化する制度案を総務省が検討している。

「個人番号カード」は、公的な個人証明書としても使える顔写真入りのICカードで、希望者全員に無料で配布されている。

高市早苗総務大臣は、総務省の仕事始め式で、個人番号カードの活用方法に言及した。「個人番号カードのICチップの空き領域を活用して、民間企業のポイントカードやクレジットカードなどそれぞれのサービスに連携できる仕組みを総務省で構築してみたい」。総務省内に新たに検討チームを発足させ、民間企業の要望を聞くなどして、新たなサービスの具体化を進める考えを示した。

総務省の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「検討チームはすでに発足しており、実際に動き出すのは今年2月以降になりそうだ。平成29年度を目処にシステム作りができれば」と答えた。

今回のニュースについて、ネット上には「カード複数枚持たなくていいから助かる」という声がある一方、「情報流出リスク高すぎ」「なんか話が全然違ってきてないか?税務と社会保障のみとか言ってなかったか?」と不安や疑問の声があいついでいる。このような動きをどう見たらいいのか。福本洋一弁護士に聞いた。

今年から運用が始まったマイナンバー制度。そこで使われる「個人番号カード(マイナンバーカード)」に、民間企業のポイントカードや図書館カードなどの機能も追加して、それらのカードを一本化する制度案を総務省が検討している。

「個人番号カード」は、公的な個人証明書としても使える顔写真入りのICカードで、希望者全員に無料で配布されている。

高市早苗総務大臣は、総務省の仕事始め式で、個人番号カードの活用方法に言及した。「個人番号カードのICチップの空き領域を活用して、民間企業のポイントカードやクレジットカードなどそれぞれのサービスに連携できる仕組みを総務省で構築してみたい」。総務省内に新たに検討チームを発足させ、民間企業の要望を聞くなどして、新たなサービスの具体化を進める考えを示した。

総務省の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「検討チームはすでに発足しており、実際に動き出すのは今年2月以降になりそうだ。平成29年度を目処にシステム作りができれば」と答えた。

今回のニュースについて、ネット上には「カード複数枚持たなくていいから助かる」という声がある一方、「情報流出リスク高すぎ」「なんか話が全然違ってきてないか?税務と社会保障のみとか言ってなかったか?」と不安や疑問の声があいついでいる。このような動きをどう見たらいいのか。福本洋一弁護士に聞いた。

●個人番号「カード」の利活用の問題であることに注意

「今回の検討案は、個人番号カードを広く普及させるための施策といえるでしょう。しかし、利便性が高まれば高まるほど、利用者にとっても、また民間企業にとっても、リスクも増加すると考えられます」

福本弁護士は、このように話す。

「個人番号カードには、表面に本人の身元を証明する機能、裏面に本人の個人番号を証明する機能があります。個人番号を提供する際に求められる本人確認手続(身元確認+番号確認)が、これ一枚で完結するという点に大きな役割があります。

もっとも、そのためだけに個人番号カードを発行しても、あまりメリットはないでしょう。

そこで、個人番号カードに埋め込まれるICチップの空き領域を民間にも開放し、機能を追加することで、個人番号カードを広く普及させようという取り組みがされているのです」

民間に開放することによって、どのようなリスクが考えられるのだろうか?

「今回の検討案が報じられた後、事業者の方から『個人番号』の民間利用が解禁されたそうだが、どこまで使えるのかといったご質問を受けることがありますが、それは誤解です。

あくまで、個人番号『カード』の利活用の問題であって、『個人番号』自体は、現在も税と社会保障分野での限定利用が前提とされ、厳格な管理が求められる方針に変わりはありません。

たとえば、個人番号『カード』を民間で利用する場合に、カードの裏面の『個人番号』をコピーしたり書き写したりすると、番号法に違反します。事業者は、本人確認の証拠として個人番号を記録することのないように注意する必要があります」

個人番号カードと民間のポイントカードが連携した場合、どのような注意が必要になるのだろうか?

「個人番号カードは、印鑑登録カードのような厳重な管理を要する機能が最初から付加されていたり、オンライン取引などでの認証機能も用意されています。

そのため、個人番号『カード』の利用が広がれば、『なりすまし』などに利用される危険性も高まるといえます。結果的に、『個人番号』そのものの漏洩よりも経済的損失を受ける可能性が高いと思われます。発行を受けたいと考えている人は、そういったリスクを踏まえて判断する必要があるでしょう」

最後に、福本弁護士は、連携よりも前に取り組むべき課題を指摘した。

「行政としては、広く安全に普及させるために、発行を受ける側が、印鑑登録カードの機能などの、個人番号カードに組み込むことを望まない場合、その機能を除外できるようにすべきと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る