11608.jpg
女性公務員の裏の顔は「官能小説作家」 バレたら公務員の「信用失墜行為」になる?
2015年02月08日 10時09分

表向きは公務員、知られざる裏の顔は官能小説作家。そんな女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「公務員の信用失墜行為に該当するのだろうか」と不安を書き込んでいた。

女性は公務員として働く傍ら、ペンネームで官能小説を書いている。小説の売れ行きが良かったのか、このたび印税収入を得ることになり、雑誌やウェブサイトに掲載されるインタビューや写真撮影などの依頼を受けたという。

ただ女性は、性的描写のある官能小説の執筆が、公務員の「信用失墜行為」にあたるのではないかと気にしている。また、印税収入を得ることが、公務員の「副業禁止」に違反しないのかと不安に思っている。

今回のケースは、法律で定められた「公務員の信用を失墜させる行為」にあたるのだろうか。そうでなかったとしても、印税収入を得ることに問題はないのか。公務員として働いた経験がある三枝充弁護士に聞いた。

表向きは公務員、知られざる裏の顔は官能小説作家。そんな女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「公務員の信用失墜行為に該当するのだろうか」と不安を書き込んでいた。

女性は公務員として働く傍ら、ペンネームで官能小説を書いている。小説の売れ行きが良かったのか、このたび印税収入を得ることになり、雑誌やウェブサイトに掲載されるインタビューや写真撮影などの依頼を受けたという。

ただ女性は、性的描写のある官能小説の執筆が、公務員の「信用失墜行為」にあたるのではないかと気にしている。また、印税収入を得ることが、公務員の「副業禁止」に違反しないのかと不安に思っている。

今回のケースは、法律で定められた「公務員の信用を失墜させる行為」にあたるのだろうか。そうでなかったとしても、印税収入を得ることに問題はないのか。公務員として働いた経験がある三枝充弁護士に聞いた。

●わいせつ行為や飲酒運転が典型例

「実は公務員時代に、私がストーリーを考えて、友人が絵を描くという形で漫画を作成し、出版社に持ち込みをしていた時期があります。私の場合は報酬が入る前にあきらめたので何事もなかったのですが、今回の相談内容は身につまされます」

三枝弁護士は、自身の体験をまじえてこのように語る。公務員が官能小説を書くことは、女性が懸念している「信用失墜行為」にあたるのだろうか。

「信用失墜行為とは、公務員としての職務の信用を傷つける行為です。国家公務員法や地方公務員法などで定められています。

わいせつ行為や飲酒運転などが典型例です。ただ、官能小説を書いても、ただちに信用失墜行為にはあたらないでしょう」

なぜだろうか。

「官能小説は小説の一ジャンルであり、そのような小説を書くこと自体は犯罪ではありません。内容しだいでは問題になるかもしれませんが、判断は相当難しいと思われます。

たとえば、『犯罪行為が含まれているか』という基準は一見わかりやすいように思われます。ただ、この基準だと、殺人事件を題材にした推理小説を書くことも信用失墜行為になり、違和感があります。

そうすると、少なくとも書店で一般販売できるような内容の官能小説であれば、信用失墜行為にはあたらないでしょう」

●「兼業禁止違反」で懲戒処分の可能性も

では、副業として、小説を書いて印税収入を得ることは、公務員として問題があるのだろうか。

「公務員は、許可を得ずに報酬を得て事業等を行うことが禁止されています。職務に専念してほしいということと、癒着を防止するといった観点からです。

印税が入るということは、おそらく事前に出版社と出版契約を締結しているのでしょう。したがって、報酬を得て事業を行っていると評価され、職場の許可を得る必要があると判断される可能性が高いと思われます」

バレたら女性は懲戒処分を受けるのだろうか。

「職場の許可を得ずに副業をしていたと分かれば、兼業禁止に違反したとして懲戒処分の対象になる可能性があります。事前に許可をとっておくべきだったでしょう」

三枝弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る