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夫の不倫相手は専業主婦、慰謝料はもらえない?「相手の夫に支払わせたい」と悩む妻
2018年06月29日 10時01分

W不倫の相手である専業主婦に慰謝料請求した場合、相手の夫に負担してもらえるのかーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

相談者の男性(A男さん)によると、A男さんは専業主婦の女性(B子さん)とW不倫しました。不倫が発覚し、A男さんと妻(A子さん)は夫婦関係を修復したものの、B子さんと夫(B男)は離婚に向けて別居しました。

その後、A男さんは、B子さんの夫(B男さん)から慰謝料請求をされました。そこで、男性の妻(A子さん)は、B子さんに慰謝料を請求しようと考えています。

しかしB子さんは、収入のない専業主婦です。A男さんは「貯金もないような時、慰謝料は払ってもらえるのでしょうか。無理なら夫に支払ってもらいたい」と考えています。

このように、不倫相手に経済的余裕がない場合、その配偶者に慰謝料を払ってもらうことはできるのでしょうか。伊藤真樹子弁護士に聞きました。

W不倫の相手である専業主婦に慰謝料請求した場合、相手の夫に負担してもらえるのかーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

相談者の男性(A男さん)によると、A男さんは専業主婦の女性(B子さん)とW不倫しました。不倫が発覚し、A男さんと妻(A子さん)は夫婦関係を修復したものの、B子さんと夫(B男)は離婚に向けて別居しました。

その後、A男さんは、B子さんの夫(B男さん)から慰謝料請求をされました。そこで、男性の妻(A子さん)は、B子さんに慰謝料を請求しようと考えています。

しかしB子さんは、収入のない専業主婦です。A男さんは「貯金もないような時、慰謝料は払ってもらえるのでしょうか。無理なら夫に支払ってもらいたい」と考えています。

このように、不倫相手に経済的余裕がない場合、その配偶者に慰謝料を払ってもらうことはできるのでしょうか。伊藤真樹子弁護士に聞きました。

●第三者に対して責任追及はできない

不倫相手に経済的余裕がない場合、その配偶者に慰謝料を払ってもらうことはできるのでしょうか。

「今回の事例のように相手夫婦の離婚が想定される場合を考えます。

日本の法律では、原則として個人が負う債務についてはあくまでその個人の債務であり、例え、家族であっても第三者に対して責任追及することは出来ません。例外的に、夫婦の場合、日常家事に関して生じた債務は、夫婦が連帯責任を負うこととされています。これは、食料・衣料などの購入費や、子の養育・教育費などが対象となります。

不倫相手への慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求権となります。日常家事に関して生じた債務とは言えず、今回のケースで夫(B男さん)に対して支払いを求めることは出来ません」

●相手の夫婦関係が修復した場合は…

Bさん夫妻は離婚に向けた別居中とのことですが、もし夫婦関係が修復した場合はどうでしょうか。

「その場合でも結論は変わらず、Bさんの夫に慰謝料を求めることはできません。慰謝料債務は妻(B子さん)固有の債務です。そのため、夫(B男さん)に対して直接に支払いを請求できないことは、夫婦関係が修復できている場合でも同じです」

B男さんが自発的に支払ってくれた場合はどうでしょうか。

「夫が任意に支払ってくれるのであれば、受け取ることに問題はありません。ただ繰り返しますが相談者の妻(A子さん)側から夫(B男さん)に請求をする権利は法的にはありませんので注意しましょう。なお、裁判のなかで和解協議になった場合に、夫(B男さん)を利害関係人として参加させて連帯保証をさせるなどの交渉は可能です」

●W不倫、慰謝料の相殺はできる?

W不倫でお互いに慰謝料を請求しあう場合には、相殺することもできるのでしょうか。

「W不倫である今回のケースでは、不倫したA男、B子の配偶者(A子、B男)はそれぞれが慰謝料の請求権があります。原因は1つなのだから、慰謝料は相殺できるはず。そう考えられるかもしれませんが、実はこれはできないのです。

そもそも、相殺は二人が互いに同種の債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるときに、一方当事者の意思表示によって対当の額で債務が消滅することです。

W不倫で、双方の夫婦関係が継続する場合には、「家庭」というくくりではお互いに債務を負っているように見えます。しかし、上記のとおりあくまで慰謝料の支払義務を負っているのは当事者であり配偶者ではないため、互いに慰謝料の支払義務を負っている関係にはなりません。従って、相殺はできません。

今回のケースで言えば、結婚を継続するA家に対して、B家は離婚することになりました。離婚しなかったA子さんに比べて、結婚が破綻したB男さんの精神的損害はより大きく、慰謝料の金額は異なります。無益なようですが、双方で支払いをし合わなければならないことになります」

【2020.05.08】「相殺はできない」という部分の説明を修正しました

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