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ハンセン病患者「特別法廷」 最高裁謝罪、弁護士「平等原則違反を認めるべきだった」
2016年05月01日 08時06分

ハンセン病患者の刑事裁判が、通常の裁判所ではなく、隔離施設などに置かれていた「特別法廷」で開かれていた問題をめぐり、最高裁が4月25日、調査報告書を発表し、「ハンセン病患者の人格と尊厳を傷つけるものであった」と謝罪した。

ハンセン病は、治療法が確立された病気だったが、1996年に「らい予防法」が廃止されるまで、国は患者を強制的に療養所に隔離する政策を続けた。この間、患者の裁判についても、通常の法廷ではなく、隔離された療養所や刑務所などに設けた「特別法廷」でおこなっていた。1948年から1972年まで計95件が実施された。

ハンセン病をめぐっては、療養所に隔離された入所者らが「人権侵害を受けた」と起こした国家賠償訴訟で、熊本地裁が2001年、「1960年には隔離の必要性が失われていた」と認定し、違憲の訴えを認めていた。

今回の報告書でも、「裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は、遅くとも昭和35年以降、裁判所法69条2項に違反するものであった」として、違法な対応だったことを認めた。一方で、「法の下の平等」や「裁判の公開原則」を定めた憲法に違反していたとは認めなかった。今回の調査報告書をどう読み解けばいいのか。古賀克重弁護士に聞いた。

ハンセン病患者の刑事裁判が、通常の裁判所ではなく、隔離施設などに置かれていた「特別法廷」で開かれていた問題をめぐり、最高裁が4月25日、調査報告書を発表し、「ハンセン病患者の人格と尊厳を傷つけるものであった」と謝罪した。

ハンセン病は、治療法が確立された病気だったが、1996年に「らい予防法」が廃止されるまで、国は患者を強制的に療養所に隔離する政策を続けた。この間、患者の裁判についても、通常の法廷ではなく、隔離された療養所や刑務所などに設けた「特別法廷」でおこなっていた。1948年から1972年まで計95件が実施された。

ハンセン病をめぐっては、療養所に隔離された入所者らが「人権侵害を受けた」と起こした国家賠償訴訟で、熊本地裁が2001年、「1960年には隔離の必要性が失われていた」と認定し、違憲の訴えを認めていた。

今回の報告書でも、「裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は、遅くとも昭和35年以降、裁判所法69条2項に違反するものであった」として、違法な対応だったことを認めた。一方で、「法の下の平等」や「裁判の公開原則」を定めた憲法に違反していたとは認めなかった。今回の調査報告書をどう読み解けばいいのか。古賀克重弁護士に聞いた。

●外部の有識者委員会の調査結果と比べ、歯切れの悪い内容

「裁判所法69条は、法廷が開かれる場所は、原則として、裁判所本庁または支部の庁舎内でなければならないと定めています。

その一方、例外的に、最高裁判所が必要と認めるときは、他の場所で法廷を開くことができることを定めています。これが特別法廷です。

ところが全国13の療養所での生活を余儀なくされたハンセン病患者は、機械的に療養所等に設置された特別法廷で審理されました」

古賀弁護士はこのように述べる。最高裁の謝罪について、どう評価するだろうか。

「最高裁が過去の司法行政について違法性を認め謝罪するのは初めてと言って良いでしょう。極めて異例の検証、そして謝罪といえ、一定の評価ができます。

しかし、最高裁は『調査の範囲では公開の原則は守られていた』と憲法違反までは認めませんでした。最高裁の調査委員会が設置した有識者委員会は、違憲と判断しており、それに比べるといかにも歯切れの悪いものになっています」

●違憲と指摘すべき背景とは?

どこに問題があったと考えられるのか。

「問題の背景は90年にわたる強制隔離収容政策です。これは、居住移転の自由をはじめとする患者の人権を侵害する政策でした。

そのため、ハンセン病を理由として機械的に療養所内で裁判を開廷したこと自体が不合理な差別にあたるとして、端的に平等原則違反と認めるべきでした。

憲法の番人である最高裁自ら憲法違反と踏み込み、過去を清算する最後のチャンスを逃してしまったのです。何よりも強制隔離政策の下、苛烈な人生を余儀なくされてきた元患者らの納得を得られなかったことは残念です。

最高裁は、再審など個別裁判への波及を恐れた節もあります。ですが個別裁判への波及は慎重に回避しつつ、報告書で違憲性を認める工夫も可能だったのではないでしょうか(最高裁事務総長が記者会見で『違憲の疑いがある』と踏み込んだコメントをしたことも、周到に検討したものと推測できますが、元患者らの心には響きませんでした)

ハンセン病違憲国賠訴訟は、長きに渡ってハンセン病問題に取り組まなかった『法曹(法律家)の責任』もテーマでした。今回、最高裁が自らを検証する真摯な姿勢を見せたことは事実です。残されたのは法務省自身による検証と言えるでしょう」

古賀弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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