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スルガ銀「逃げ切り退職」に金融庁が異例の警告 弁護士「人的証拠の隠匿を問題視」
2018年05月19日 09時34分

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが経営破綻した問題で、金融庁がスルガ銀行に対し、経緯を知っている役職員の恣意的な退職や解雇が「検査忌避になり得る」と異例の警告をしたと日経新聞が報じた。金融庁の検査は、銀行と現役の役職員を対象としているためだ。

スルガ銀行がオーナー(物件所有者)に1億円超の融資をする際、改ざんされた預金通帳のコピーが複数使われていたことが指摘されている。4月以降、立入検査を始めた金融庁が、実態解明には問題の経緯を知っている役職員への聞き取りが不可欠とみて、警告に至った。

報道によれば、問題の経緯を知っているとみられた横浜市内の支店の元支店長が3月末に退職し、他の役職員らも退職の意思を示していたことが判明。恣意的な退職は、銀行法63条が禁じている「検査忌避」(検査の妨害)にあたり、罰則の対象になり得るとスルガ銀行に警告した。悪質性が高ければ、金融庁は刑事告発する構えだという。

金融庁に勤務経験がある大和弘幸弁護士に、この警告の意義などについて聞いた。

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが経営破綻した問題で、金融庁がスルガ銀行に対し、経緯を知っている役職員の恣意的な退職や解雇が「検査忌避になり得る」と異例の警告をしたと日経新聞が報じた。金融庁の検査は、銀行と現役の役職員を対象としているためだ。

スルガ銀行がオーナー(物件所有者)に1億円超の融資をする際、改ざんされた預金通帳のコピーが複数使われていたことが指摘されている。4月以降、立入検査を始めた金融庁が、実態解明には問題の経緯を知っている役職員への聞き取りが不可欠とみて、警告に至った。

報道によれば、問題の経緯を知っているとみられた横浜市内の支店の元支店長が3月末に退職し、他の役職員らも退職の意思を示していたことが判明。恣意的な退職は、銀行法63条が禁じている「検査忌避」(検査の妨害)にあたり、罰則の対象になり得るとスルガ銀行に警告した。悪質性が高ければ、金融庁は刑事告発する構えだという。

金融庁に勤務経験がある大和弘幸弁護士に、この警告の意義などについて聞いた。

●「人的証拠」の隠匿を問題にするのは異例

ーー銀行法について教えてください

「銀行の公共性にかんがみ、預金者を保護し、金融の円滑を図るための監督法令が銀行法です。銀行法は、銀行業務の健全・適切な運営を確保するために必要があると認めるときは、銀行への立入検査権を認めています。

この検査権限は、犯罪捜査権限のような強制力はありませんが、検査を拒み、妨げ又は忌避した銀行職員は1年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人としての銀行は2億円以下の罰金が科される犯罪行為です」

ーー今回のスルガ銀行に対する「警告」は異例のものでしょうか

「過去、検査忌避が問題となったケースは、大量の重要書類の組織的破棄・隠匿が認められたメガバンクの事例や、検査に必要な電子メールの意図的な削除が認められた銀行の事例などがあります。

これらのケースは、いわば『物的証拠の破棄』が問題となったものですが、今回のスルガ銀行のケースは、『関係者を退職させるな』と金融庁が警告しているわけで、『人的証拠の隠匿』を問題としている点で、極めて異例だと思います」

●早期退職、かえって実態解明を阻む恐れ

ーー金融庁が刑事告発する可能性もあるようです

「仮に、金融庁が刑事告発した場合、関係者を退職させることが『検査忌避』にあたるといえるのか、『物的証拠の破棄』の事例よりもハードルは高いと思います。退職には他の理由や目的がなく、専ら検査を回避するためだけに退職するという意図が認定できるかどうかが、ポイントのように思います。

企業の不祥事事例では、しばしば、関係者はクビにして責任を取らせろと主張されることがあります。しかし、現時点での社内調査で、二重契約書の存在や、通帳残高の偽造など不正の流れが指摘されている本件では、関係者を早期に退職させることは、組織的関与や改ざんの認識などの実態解明をかえって阻む恐れがあることも指摘されるべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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