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出前館の「2000円引き」クーポンで不正、複数アカで「無限利用」 法的問題は?
2020年10月13日 15時12分

デリバリー大手「出前館」の期間限定キャンペーンをめぐり、消費者の一部で不正がおこなわれていたようだ。企業が不正利用への対応を表明した。

いったい何があったのか。

問題となっているのは「HKT48×出前館 『はじめてのデリバリー注文で2,000円オフ』キャンペーン」だ。

10月7日〜15日の期間の開催が告知されていたものの、クーポン枚数の上限15万件(3億円分)に達したため、期限をまたずに10月11日19時に終了した。

利用にあたっては、事前に「不正取得・利用が発覚した場合は、厳正に対処いたします」と注意が呼びかけられていた。

そんななか、キャンペーンは10月11日に終了。出前館は公式サイトと公式ツイッターで、「同一人物による利用などの不正利用を発見した場合には、お届け先住所に不正利用分の金額を回収に参ります」との考えを明らかにした。

キャンペーンが終了するまでに、インターネットでは、サブアカウントなど複数アカウント取得による、クーポンの不正利用の方法を指南するネット投稿も確認できた。

出前館東京本社(千代田区)は「同一人物による利用などの不正利用があったと把握している」と編集部の取材に回答した。今後、不正について調査を進めていく。

不正が発覚した場合、不正利用金額の回収に向かうと発表したことについて、詳細を尋ねたが、「具体的なケースについては、回答できかねる」とのことだった。

出前館のキャンペーンで不正をうかがわせるツイートを確認した(加工は編集部) 出前館のキャンペーンで不正をうかがわせるツイートを確認した(加工は編集部)

同社は「今回の不正利用者は本キャンペーンで発生した注文のうちの1%未満となっている」とする。

キャンペーンの総額が3億円だから、300万円未満が今回の被害規模となっているわけだ。

特徴としては、一部の者が数百以上の不正をおこなったわけではなく、多数の者がそれぞれ数回の不正をおこなったと同社は把握している。

「今後はLINEIDとの連携などで対応強化をし、サービスの改善に努めてまいります」

なお、同社は不正利用をどうやって判断するかの詳細は公表していないが、同じ住所でも「同一人物でない場合は、不正の対象とはなりません」という。

1人につき、1回だけと制限が設けられているキャンペーンにおいて、2回以上不正に利用することの問題点について、上田孝治弁護士はこう指摘する。

「今回のキャンペーンは、1人1回だけという条件付きで出前館が2000円を肩代わりする仕組みのようですので、『1回だけ』という点を偽って、2回目以降も肩代わりさせたような場合は、だまして債務を免れたという点で詐欺罪に該当する可能性がありますし、民事的にも、不正利用で得た利益に相当する額の損害賠償責任が発生します」

なお、出前館側が「不正利用分の金額を回収に参ります」としている点についても、注意を要するようだ。

「いくら損害賠償請求権を有していたとしても、自力救済は原則として禁止されていますので、度を超えた方法での回収になってしまえば、回収する側にも犯罪が成立することがあります」

デリバリー大手「出前館」の期間限定キャンペーンをめぐり、消費者の一部で不正がおこなわれていたようだ。企業が不正利用への対応を表明した。

いったい何があったのか。

●アイドルグループHKT48とのコラボ企画

問題となっているのは「HKT48×出前館 『はじめてのデリバリー注文で2,000円オフ』キャンペーン」だ。

10月7日〜15日の期間の開催が告知されていたものの、クーポン枚数の上限15万件(3億円分)に達したため、期限をまたずに10月11日19時に終了した。

利用にあたっては、事前に「不正取得・利用が発覚した場合は、厳正に対処いたします」と注意が呼びかけられていた。

そんななか、キャンペーンは10月11日に終了。出前館は公式サイトと公式ツイッターで、「同一人物による利用などの不正利用を発見した場合には、お届け先住所に不正利用分の金額を回収に参ります」との考えを明らかにした。

●同一人物が2回以上利用

キャンペーンが終了するまでに、インターネットでは、サブアカウントなど複数アカウント取得による、クーポンの不正利用の方法を指南するネット投稿も確認できた。

出前館東京本社(千代田区)は「同一人物による利用などの不正利用があったと把握している」と編集部の取材に回答した。今後、不正について調査を進めていく。

不正が発覚した場合、不正利用金額の回収に向かうと発表したことについて、詳細を尋ねたが、「具体的なケースについては、回答できかねる」とのことだった。

出前館のキャンペーンで不正をうかがわせるツイートを確認した(加工は編集部) 出前館のキャンペーンで不正をうかがわせるツイートを確認した(加工は編集部)

●「多くの人が数回」やった

同社は「今回の不正利用者は本キャンペーンで発生した注文のうちの1%未満となっている」とする。

キャンペーンの総額が3億円だから、300万円未満が今回の被害規模となっているわけだ。

特徴としては、一部の者が数百以上の不正をおこなったわけではなく、多数の者がそれぞれ数回の不正をおこなったと同社は把握している。

「今後はLINEIDとの連携などで対応強化をし、サービスの改善に努めてまいります」

なお、同社は不正利用をどうやって判断するかの詳細は公表していないが、同じ住所でも「同一人物でない場合は、不正の対象とはなりません」という。

●弁護士「詐欺罪にあたりえる」…一方、回収方法には課題

1人につき、1回だけと制限が設けられているキャンペーンにおいて、2回以上不正に利用することの問題点について、上田孝治弁護士はこう指摘する。

「今回のキャンペーンは、1人1回だけという条件付きで出前館が2000円を肩代わりする仕組みのようですので、『1回だけ』という点を偽って、2回目以降も肩代わりさせたような場合は、だまして債務を免れたという点で詐欺罪に該当する可能性がありますし、民事的にも、不正利用で得た利益に相当する額の損害賠償責任が発生します」

なお、出前館側が「不正利用分の金額を回収に参ります」としている点についても、注意を要するようだ。

「いくら損害賠償請求権を有していたとしても、自力救済は原則として禁止されていますので、度を超えた方法での回収になってしまえば、回収する側にも犯罪が成立することがあります」

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