結婚して7年間、一度も性交渉がない——。会社員女性Cさん(30代)から、そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
Cさんは結婚以来、夫と一度も肉体関係を持ったことがないそうです。子どもを望む気持ちもありますが、それ以上に「女性として、人として今後一切性交渉をしない人生を歩むことになる」という絶望感に苛まれているといいます。
夫との関係は良好で、手をつなぐ、抱き合う、キスといったスキンシップはあるものの、性的関係だけがない状態が続いています。
離婚は考えていないAさんですが、女性用風俗の利用を検討しています。もし夫にバレた場合の慰謝料などを請求されるリスクはあるのか気になるそうです。レスの状態が長く続いていても、配偶者以外との性的行為は問題あるのでしょうか。
●女性用風俗の利用も「不貞行為」のリスク
不貞行為とは、「配偶者のある者が自由な意思に基づき、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を指します(最判昭和48年11月15日など)。性的関係を持った場合に限定されるかどうかについて争いはありますが、女性用風俗での性的サービスも不貞行為に該当する可能性が高いといえるでしょう。
ただし、不貞行為の時点で夫婦の婚姻関係が既に破綻していた場合、原則として慰謝料請求は認められません。
今回のケースでは、レスの状態が長年続いているとはいえ、夫婦仲が良好で適度なスキンシップもあることから、客観的に婚姻関係が破綻しているとは認定されにくいと考えられます。
●レス状態でも慰謝料支払い義務は発生する可能性
このように、7年間のレス状態であっても、夫婦関係が良好である以上、婚姻関係の破綻は認められにくいのが現実です。そのため、女性用風俗を利用して夫に発覚した場合、慰謝料の支払い義務が発生するリスクは否定できません。
このような場合に考えられる対応策としては、まず夫との真摯な話し合いを重ねることが挙げられます。医療機関での相談や夫婦カウンセリングの利用、場合によっては一時的な別居による関係性の見直しなども検討の余地があるでしょう。法的リスクを避けるためには、やはり配偶者との合意形成が最も重要といえます。
まずは夫婦間での建設的な対話を通じた解決を模索することが賢明でしょう。