12135.jpg
えっ、消費者庁が「徳島」に移転? 日弁連が政府案に「断固反対」するワケ
2016年01月29日 20時10分

政府は地方創生政策の一環として、消費者行政を司る「消費者庁」を四国地方の徳島県に移転することを検討している。それに対して、日本弁護士連合会は1月29日、「消費者行政が大きく後退するおそれがある」と強く反対する意見を、記者向けのセミナーで表明した。

日弁連は、中央省庁の東京一極集中の是正については賛成しているが、消費者庁の移転は疑問視している。日弁連消費者問題対策委員会委員長の野々山宏弁護士は、消費者庁には、消費者行政の「司令塔」の役割があり、その役割は他の省庁が集まる東京でないと果たせないと指摘する。

政府は地方創生政策の一環として、消費者行政を司る「消費者庁」を四国地方の徳島県に移転することを検討している。それに対して、日本弁護士連合会は1月29日、「消費者行政が大きく後退するおそれがある」と強く反対する意見を、記者向けのセミナーで表明した。

日弁連は、中央省庁の東京一極集中の是正については賛成しているが、消費者庁の移転は疑問視している。日弁連消費者問題対策委員会委員長の野々山宏弁護士は、消費者庁には、消費者行政の「司令塔」の役割があり、その役割は他の省庁が集まる東京でないと果たせないと指摘する。

●「テレビ会議で、反対団体を説得できるのか」

「消費者問題は、食品や製品の生産、流通、販売、安全管理、行政規制、刑事規制など、ほとんどの省庁と関連している。関係省庁と一体となって、ときには、対立する利害を調整する必要がある」「地方移転によって、こうした連携が困難になり、消費者行政の機能が低下してしまう」と、野々山弁護士は危機感をあらわにした。

消費者庁の移転計画に伴って、「テレビ会議システム」の導入が検討されている。しかし、消費者庁勤務経験のある鈴木敦士弁護士(日弁連消費者問題対策委員会幹事)は、「現実的ではない」と切り捨てた。「たとえば、法制化の作業では、反対する業界団体や、ロビイスト、議員にも対応する必要がある。テレビ会議で説明して、説得できるのか。そもそも、そうした相手がテレビ会議の場に出てきてくれるのか」。

日弁連副会長の松葉知幸弁護士は「消費者庁ができて、まだたったの6年。人間でいえば、ようやく自分で歩き始めたような段階だ。もっとしっかりした団体に育ってほしい。その成長を阻害する危険がある地方移転はやめてほしい」と訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る