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退職後1年、半径800メートル以内の競合店で働かない…こんな就業規則変更はアリ?
2017年11月17日 10時51分

「最近就業規則を追加したのでサインしてほしいと言われました」。ある美容室で働く女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこんな投稿をしていました。

投稿者の女性は都内の美容室で10年勤務していますが、「退職後の再就職先が同業の場合、半径800メートル以内で1年間働いてはいけない」という就業規則の追加分についてサインを求められたそうです。

これに対して女性は、「途中で追加された場合でも、雇われている立場であればサインをしないといけないものなのでしょうか」と納得がいかない様子です。就業規則に変更があった場合、どんな内容でも従わなければならないのでしょうか。柿田徳宏弁護士に聞きました。

「最近就業規則を追加したのでサインしてほしいと言われました」。ある美容室で働く女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこんな投稿をしていました。

投稿者の女性は都内の美容室で10年勤務していますが、「退職後の再就職先が同業の場合、半径800メートル以内で1年間働いてはいけない」という就業規則の追加分についてサインを求められたそうです。

これに対して女性は、「途中で追加された場合でも、雇われている立場であればサインをしないといけないものなのでしょうか」と納得がいかない様子です。就業規則に変更があった場合、どんな内容でも従わなければならないのでしょうか。柿田徳宏弁護士に聞きました。

●変更が合理的な場合、従業員は変更に従う必要がある

「まず最初に就業規則の変更について同意を求められた場合に、従業員として同意をする義務があるわけではありません。一方、同意をしなかったからといって、その従業員は就業規則に従わなくていいわけではありません」

柿田弁護士はそう指摘します。どういうことでしょうか。

「適切な変更手続を経た就業規則については、変更が合理的な場合、変更後の就業規則は有効と考えられ、労働契約は変更後の就業規則の内容に変更され、従業員はそれに従わなければならないと労働契約法10条で定められているためです。

変更の合理性については、変更後の就業規則が労働者に周知されていることや労働者の受ける不利益の程度、労働条件の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況、その他就業規則の変更に関する事情に照らして考えます」

では、今回の女性のように再就職先に制限を設けるような就業規則の変更であっても有効になるのでしょうか。

「今回女性が勤務先で提示された、元の会社と競業する事業を営む他社に就職してはならないといった決まりを、法律上の用語で『競業避止義務規定』といいます。

これについては、一般的には、競業行為の範囲や競業禁止期間、地域的限定、代償措置などについて考慮して、変更の合理性を判断することになります(参考:東京地判平7.10.16 東京リーガルマインド事件)。

女性の働く美容室で他の従業員が当該就業規則の変更に同意したのか、そのような競業避止義務条項を設ける必要性がどの程度その美容室に高いのか、などの要素がわからないので、明確に答えることは困難ですが、

(1)800メートル以内と地域的な限定をかなり加えていること

(2)競業避止の期間も1年とさほど長くないこと

を考えると、変更の合理性があると判断される可能性は高いと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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