12425.jpg
上西教授「圧力容認できない」 裁量労働制データ問題、自民・橋本氏のFB投稿めぐり抗議
2018年05月11日 18時53分

裁量労働制に関する厚生労働省の不適切データ問題で、上西充子・法政大教授らが5月11日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した。自民党の橋本岳衆院議員(厚労部会長、岡山4区)が自身のフェイスブック(FB)に投稿した上西教授に関する記述について、「国会議員による恫喝だ。研究者への圧力は容認できない」と抗議した。

問題となった橋本議員による記述は5月7日に投稿された、上西教授がYahoo!ニュースで個人として連載している記事に関してのもの。上西教授は不適切データ問題について2018年2月ごろに問題点を見破り、追及を続けている。政府に裁量労働制の対象拡大を見送らせた「最大の功労者」(日本労働弁護団の嶋崎量弁護士)とも言われている。

橋本議員は5月10日、上西教授からFBの記述の問題点を指摘されたことを踏まえ、「深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」と陳謝し、一部を追記などした。ただ、対応が不十分だとして上西教授は会見の場で抗議することにした。(おかしくてたまらないという意味の「噴飯もの」との表現はそれ以前に削除)

裁量労働制に関する厚生労働省の不適切データ問題で、上西充子・法政大教授らが5月11日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した。自民党の橋本岳衆院議員(厚労部会長、岡山4区)が自身のフェイスブック(FB)に投稿した上西教授に関する記述について、「国会議員による恫喝だ。研究者への圧力は容認できない」と抗議した。

問題となった橋本議員による記述は5月7日に投稿された、上西教授がYahoo!ニュースで個人として連載している記事に関してのもの。上西教授は不適切データ問題について2018年2月ごろに問題点を見破り、追及を続けている。政府に裁量労働制の対象拡大を見送らせた「最大の功労者」(日本労働弁護団の嶋崎量弁護士)とも言われている。

橋本議員は5月10日、上西教授からFBの記述の問題点を指摘されたことを踏まえ、「深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」と陳謝し、一部を追記などした。ただ、対応が不十分だとして上西教授は会見の場で抗議することにした。(おかしくてたまらないという意味の「噴飯もの」との表現はそれ以前に削除)

●「誰かの指示のもとの捏造」とは記していない

会見での説明によると、厚労省幹部が2018年2月に不適切データについて「意図的に作ったものではない」と発言したことに対し、上西教授は「捏造」という言葉を使ったものの、「誰かの指示のもと」という前提条件をつけての記述をしたことがなかった。

ところが、橋本議員がFBに、上西教授が誰かの指示でデータの捏造があったことを検証するかのように記した。次のような投稿だ。「上西教授が改めてとりあげている論点は、『その不適切な表の作成が、誰かの指示により意思を持って捏造されたものなのではないか』にあるのだと認識しています」(5月7日投稿)。

また、同じ投稿内には次のような記述もあった。「ここまで『意図した捏造』と指摘するからには、『捏造を指示した連絡』などがそのうちきっと証拠として示されるものと期待しています。これがあれば、決定的になりますから」。

上西教授は「私は公表資料などから緻密に検証をしていて、内部の人間に通じているわけではない。捏造を指示した証拠は示せるわけがない。勝手に検証の枠組みを作られ、『指示した証拠がなければ捏造とは言わせないぞ』と恫喝されたと感じた」と話した。

●学問の自由に対する重大な挑戦

政府が今国会の最重要法案のひとつと位置づける「働き方改革関連法」は、不適切データ問題の影響で裁量労働制の対象拡大部分が削除され、4月にようやく国会に提出された。6月20日の会期末までの成立を目指し、後半国会でどう審議が進むかが注目されている。

そうした環境下で、自民党厚労部会の部会長であり、しかも不適切データが民主党(当時)に示された2015年3月に厚労大臣政務官でもあった橋本議員が、上西教授の検証をけん制するかのような表現をしたことを、上西教授と日本労働弁護団の弁護士は問題視している。

会見で嶋崎弁護士は「憲法23条で学問の自由は保障されている。日本では残念ながら、先の大戦中、時の権力者が都合の悪い研究者を弾圧したという歴史がある。学問の自由に対する重大な挑戦で、いち弁護士としても許せない」。

上西教授は「橋本議員のフェイスブックを見た人たちから私が攻撃される恐れがある。あたかも私がそう言っているように書かないでほしい。フェイスブックの投稿について間違いを指摘したが、不十分な対応しかされていない」と述べた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る