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訴えられた司会者みのもんたさん 「テレビ番組」信じて健康を害したら、誰の責任?
2015年03月20日 12時25分

「お年寄りは脱水症状になりやすい。毎日2リットルの水を飲むこと」タレントのみのもんたさんが司会を務めるテレビ番組のすすめにしたがい、水分摂取を続けていたら体調が悪化したとして、80代の女性が、みのさんを訴えた。

中日スポーツによると、女性は2004年ごろから、みのさんの発言を実践し、1日2リットルの水を、お茶などの飲み物とは別に飲み続けたという。実践から6年目の2010年、女性は水分の過剰摂取が原因の病気で病院に搬送された。さらに2011年には、治療で水分量を減らしたため腎機能が低下し、腎不全も発症したという。

女性とその長男は、「みのさんの発言を実践しなければ病気にはならなかった」として、これまでの入院費や治療費などを含めた約6800万円の賠償を求めている。

一般論として、テレビ番組での発言をめぐって、医療の専門家ではない司会者個人が、法的な責任を問われることはあるのだろうか。太田純弁護士に聞いた。

「お年寄りは脱水症状になりやすい。毎日2リットルの水を飲むこと」タレントのみのもんたさんが司会を務めるテレビ番組のすすめにしたがい、水分摂取を続けていたら体調が悪化したとして、80代の女性が、みのさんを訴えた。

中日スポーツによると、女性は2004年ごろから、みのさんの発言を実践し、1日2リットルの水を、お茶などの飲み物とは別に飲み続けたという。実践から6年目の2010年、女性は水分の過剰摂取が原因の病気で病院に搬送された。さらに2011年には、治療で水分量を減らしたため腎機能が低下し、腎不全も発症したという。

女性とその長男は、「みのさんの発言を実践しなければ病気にはならなかった」として、これまでの入院費や治療費などを含めた約6800万円の賠償を求めている。

一般論として、テレビ番組での発言をめぐって、医療の専門家ではない司会者個人が、法的な責任を問われることはあるのだろうか。太田純弁護士に聞いた。

●司会者個人を訴えるケースは珍しい

「前提として、現在、審理中の事案ですので、一般論としてのコメントに留めさせていただきます」

太田弁護士はこう切り出したうえで、過去に起きた事例について説明する。

「かつて某テレビ番組で、ダイエット方法として、ある食材の摂取方法や調理方法が紹介され、それに起因して、健康被害を訴える人があらわれたという事例があります。

その事例では、食材に含有されるある成分に、ダイエットの効能を期待できる反面、

別の成分が、紹介された調理方法では人体に悪影響を及ぼす可能性があったとして、問題になりました」

このように、視聴者が放送局や制作側の対応を問うケースはあるが、「司会者個人を相手に訴訟をするというケースは珍しい」と太田弁護士は指摘する。

「司会者の発言内容は、その一言を取り上げるのではなく、発言意図や流れ、ニュアンス、その場に流れた説明映像、番組制作側の意図、事前調査内容などを含めて、全体的な考察をすべきと思われます。

ただ、仮に『人によっては体質に合わない可能性もある』などの注意喚起がされていなかったからといって、違法と判断されるかというとなかなか難しく、一概には言えません」

●裁判では何が争点になる?

なぜ、違法かどうかの判断が難しいのだろうか?

「さきほどあげた事例では、食材の調理方法自体に問題があり、人体への悪影響の可能性が内在していました。さらに、かなり多くの方が、同時期に健康被害を訴えていました。

それに対して、一般に水を飲むことそれ自体が、必ずしも人体に悪影響を与えるとは言い切れません。たしかに、病気の人に水分調整や制限がなされることはありますが、視聴者の状況は千差万別です。

司会者の発言が、誰にとって危険な発言だったといえるのか、この点がまず出発点です」

今回のケースで、女性は治療費や慰謝料などを求めて、司会者を提訴している。裁判では、何が争点になるのか。

「裁判の場における事実認定は、抽象的・一般的にどうかではなく、具体的に、疾病の発症に繋がったとされる『作用機序(メカニズム)』について、その人の既往症や生活状況、健康状態、年齢といった要因をじっくり検討したうえで判断されます。放送時期から一定の年月を隔てているケースであれば、なおさら、因果関係の主張立証が重要です。

また、仮に注意喚起を期待できたかどうかに着眼したとしても、全体の発言内容や意図を考慮したうえで、注意喚起をする必要があったかどうかが問題です。さらに、視聴者側に、健康法を実践するかどうかを自己決定できる機会があったか否かも問われるでしょう。

そうすると、視聴者側にとって、医療的なアクセスが十分可能であったかどうか、もし医療機関にかかっていたとすれば、その診療経過や治療方針なども踏まえて、医学的、医療的な事柄についての、具体的な主張立証がポイントになります」

太田弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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