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中居正広さん問題、フジテレビが無視できない「大株主の注文」 弁護士が解説
2025年01月16日 17時27分
#フジテレビ #中居正広 #ダルトン・インベストメンツ #物言う株主

タレントの中居正広さんと女性とのトラブルにフジテレビ社員が関わっていたと『女性セブン』や『週刊文春』などが報じている問題を受け、米投資会社のダルトン・インベストメンツとその関連会社は、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)の取締役会に対し、外部の専門家からなる第三者委員会を設置し、事実を検証することや再発防止策を提示することを強く求める書簡を公表した。書簡は1月14日付。

書簡では、「中居氏による騒動は単にエンタメ業界全体の問題だけでなく、特に貴社のコーポレートガバナンスに重大な欠陥を露呈している」と厳しくフジを批判している。また、対応が遅れたり、不明瞭にしたりすることにより、視聴率の低下、スポンサー離れにつながると懸念を示し、株価への悪影響の可能性も示唆している。

ダルトンは「物言う株主」として知られている。関連会社を含めるとフジの株式を7%保有しているといい、「大株主」として「この状況に憤りを感じている」としている。

こうしたダルトンからの「書簡」はどこまでフジテレビに「影響」するのだろうか。企業の問題に詳しい中村健三弁護士に聞いた。

タレントの中居正広さんと女性とのトラブルにフジテレビ社員が関わっていたと『女性セブン』や『週刊文春』などが報じている問題を受け、米投資会社のダルトン・インベストメンツとその関連会社は、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(HD)の取締役会に対し、外部の専門家からなる第三者委員会を設置し、事実を検証することや再発防止策を提示することを強く求める書簡を公表した。書簡は1月14日付。

書簡では、「中居氏による騒動は単にエンタメ業界全体の問題だけでなく、特に貴社のコーポレートガバナンスに重大な欠陥を露呈している」と厳しくフジを批判している。また、対応が遅れたり、不明瞭にしたりすることにより、視聴率の低下、スポンサー離れにつながると懸念を示し、株価への悪影響の可能性も示唆している。

ダルトンは「物言う株主」として知られている。関連会社を含めるとフジの株式を7%保有しているといい、「大株主」として「この状況に憤りを感じている」としている。

こうしたダルトンからの「書簡」はどこまでフジテレビに「影響」するのだろうか。企業の問題に詳しい中村健三弁護士に聞いた。

●ダルトンの株は7%、「大株主」として影響力

——ダルトンは「物言う株主」と言われていますが、どういうものなのでしょうか。

「物言う株主」(アクティビスト)とは、一定の株式を保有して影響力を持ち、投資先企業の企業価値の向上を目指して、経営陣に対し、経営方針や事業について積極的に働きかけを行う株主や投資ファンドのことです。

手法としては、今回のような経営陣への提言・交渉、株主提案権行使、委任状勧誘等様々なものがあります。

今回話題となったダルトンも、「物言う株主」として知られる米国投資ファンドであり、これまで複数の日本企業に対して株主提案や提言を行っています。フジ・メディアHD株式を7%以上保有する第2位の大株主として、同社に対して一定の影響力を有しています。

——株主は、何割程度の株を持っていれば、企業に対して影響力を行使できるのでしょうか。

上場企業の発行済株式の5%を超えて株式を保有すると「大量保有者」と呼ばれ、企業に対し影響力を有するとされています。5%を超えると大量保有報告書を提出する義務があり、市場において大株主として認知されるためです。

また、発行済株式の10%以上を保有する株主は「主要株主」と言い、当該企業や市場に対してさらに強い影響力を持ちます。

また、5%に至らなくても、総株主の議決権の3%以上を6カ月間保有している株主は株主総会の招集を請求できますし、1%以上を6カ月間保有し続ける株主は株主提案権を得られますので、その意味でも一定の影響力があります。

●日弁連「第三者委員会ガイドライン」に基づいた調査を

——ダルトンの書簡では、「第三者委員会による検証」や、「透明性や信頼の向上」を求めています。一方で、フジテレビは、中居氏と女性との間にトラブルが起きた際に、フジテレビ社員が関わっていたという報道を否定するコメントを発表しています。企業として社員を守らなければならないという立場もあるかと思いますが、こうした株主の要望について、どのように対応するのが望ましいのでしょうか。

フジ・メディアHDとしては、世間の注目と批判を浴びている中居氏の件について第2位の大株主から提言を受けた状況からすると、それらを無視することはできないと考えられます。

一連の報道によって低下した信頼を回復するためにも、今回の書簡を踏まえて速やかに第三者委員会を設置し、事実関係のみならず、ガバナンス上の問題点や企業風土についての原因分析も含めて調査が為されるべきと言えます。

そして、この第三者委員会は、日弁連が策定する「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に基づいたものにすべきです。同ガイドラインでは、第三者委員会は企業等から独立した委員のみをもって構成されることや、事実を正確かつ多角的にとらえるための努力を尽くすこと等が要求されています。

●「外部の弁護士を入れて調査」しているが…

——弁護士ドットコムニュースの取材に対して、フジテレビの企業広報部は、「昨年より我が社は外部の弁護士を入れて事実確認の調査を開始し、現在もさらに進めており、今後の調査結果をふまえ、適切な対応をしていきます」と回答しています。ただし、第三者委員会の設置については「現段階ではお答えは控えさせていただきます」としています。こうした対応のみで十分といえるのでしょうか。

この内容だけでは判然とはしませんが、外部弁護士による調査というだけでは、いわゆる「第三者委員会」とは言えず、独立性・中立性が確保された調査と言えるか疑義があります。

仮にこの調査の担当者の独立性や適格性に問題があったり、その調査や原因分析が不十分であったりするならば、株主、スポンサー及び視聴者らの信頼を回復することはさらに難しくなるかもしれません。

また、フジテレビは以前に社員の関与を否定するコメントをしていましたが、調査中の段階で、先にこのように結論付けるようなコメントを出したことには疑問があります。この対応も、一貫性や透明性が欠如しているというダルトンの厳しい指摘の対象となっていると考えます。

実際、ダルトンは、以前にもフジ・メディアHDのガバナンスの問題点を厳しく指摘してMBOを要求する等していますので、今回の問題は、調査結果や今後の展開によっては従前のダルトンの指摘を裏付ける結果になるかもしれません。

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