12670.jpg
わが社は「女性採用」を拡大します!こんな宣言は「男女雇用機会均等法」に反しない?
2016年02月19日 11時23分

大手自動車部品メーカー「デンソー」(愛知県刈谷市)が1月下旬、今後、女性の採用を拡大していくと発表した。具体的には、2017年以降、採用の女性比率を「事務40%、技術15%」以上を目指し、2020年までに女性管理職を100名とする計画だ。

報道によれば、2016年4月にデンソーに入社予定の事務系総合職のうち、女性の比率は21%。女性管理職は全体の1%未満にとどまるが、この計画により倍増させるという。同社のウェブサイトによれば、ダイバーシティ推進の行動計画を策定している。今回の計画も「各職場でリーダーとして活躍する女性を増やすため、『女性採用の強化』と『女性社員のキャリア形成支援』を柱に活動を推進していきます」との方針に基づく。

この「女性の採用拡大」という方針は、男性よりも女性を優遇するようにもみえる。そうなると、男女雇用機会均等法に觝触する可能性はないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。

大手自動車部品メーカー「デンソー」(愛知県刈谷市)が1月下旬、今後、女性の採用を拡大していくと発表した。具体的には、2017年以降、採用の女性比率を「事務40%、技術15%」以上を目指し、2020年までに女性管理職を100名とする計画だ。

報道によれば、2016年4月にデンソーに入社予定の事務系総合職のうち、女性の比率は21%。女性管理職は全体の1%未満にとどまるが、この計画により倍増させるという。同社のウェブサイトによれば、ダイバーシティ推進の行動計画を策定している。今回の計画も「各職場でリーダーとして活躍する女性を増やすため、『女性採用の強化』と『女性社員のキャリア形成支援』を柱に活動を推進していきます」との方針に基づく。

この「女性の採用拡大」という方針は、男性よりも女性を優遇するようにもみえる。そうなると、男女雇用機会均等法に觝触する可能性はないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。

●「ポジティブ・アクション」に該当するか否か

「デンソーの措置が正当化されるかどうかは、性別による差別的取扱いの禁止の例外として、男女雇用機会均等法8条により認められている、いわゆる『ポジティブ・アクション』に該当するかどうかによります」

大部弁護士はこのように指摘する。

男女雇用機会均等法8条は「事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として、女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない」と定めている。

「『ポジティブ・アクション』がもうけられた背景には、固定的な男女の役割分担意識や過去の性差別的な雇用管理の経緯があります。『営業職は男性ばかり』『管理職に女性がいない』など、雇用の場において男女労働者間に事実上の格差が生じている場合には、均等法の差別禁止規定を順守するだけでは、格差は解消できません。

そこで、男女労働者間の格差を解消することを目指して、女性の能力発揮を図るために、企業が自主的・積極的に取り組む措置として『ポジティブ・アクション』がもうけられたのです。

どのような場合に『事実上の格差』が存在していると判断されるかといえば、男性労働者と比較して、一定の区分、職務、役職において女性労働者の割合が4割を下回っている場合です。

デンソーの『平成29年以降、採用の女性比率を事務40%・技術15%以上を目指す』、また、『平成32年までに女性管理職を100名とする』といった雇用方針は、これまで生じていた事実上の男女格差を解消する目的でなされているものといえる限り、適法なものといえるでしょう」

大部弁護士はこのように指摘した。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る