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「お前、女の体型じゃない」暴言祖父に傷ついた女子大生、慰謝料は請求できる?
2016年06月07日 00時00分

味方であるはずの家族や親族ですが、「なんでも言っていい相手」と甘くみられ、心に傷をおったり、深刻なトラブルに発展したりすることがあります。

弁護士ドットコムライフが募集した「体験談」に投稿した女子大生の場合、加害者は実の祖父でした。以下、女性からの相談を引用します(一部、表現を変えています)。

「身長156センチで体重が54キロの少しぽっちゃり体型の女子大生です。親も祖父母もみんなぽっちゃり体型です。

私のおじいちゃんは私の家の隣に住んでいます。そしておじいちゃん会うたびに『お前見るたびに太るな。女の体型じゃない。こんなデブみたことない。笑』と笑いながら言われます。何年間も同じことを言われ、ストレスで円形脱毛になったり生理不順になったりしています。

今まで我慢していたのですが、最近も『お前みたいなデブ、女じゃないな。こんな女見たことない』と笑いながら言われ、『関係ないやろ。ほっといて』とさらっと言い家を出ました。

すると、私の母に『お前の娘の態度はなんや!どういう教育してるんや!孫にあんなにボロクソに言われるとは思わんかった。二度となんもしたれへん』とキレられたそうです。

そして縁を切られました。悪いのは100%向こうなのになぜ私がこんな扱いを受けなければいけないのか。親に相談したところ、『お前が悪い』『我慢できないのなら家を出て行け』とまで言われました。

私はおじいちゃんに心を傷つけられました。そして目撃者もいます。できることなら訴えたいです」

女性は、心を傷つけられたことに対して「訴えたい」と考えています。そのような理由で、慰謝料を請求するなど「訴える」ことはできるのでしょうか?寺林智栄弁護士の解説をお届けします。

味方であるはずの家族や親族ですが、「なんでも言っていい相手」と甘くみられ、心に傷をおったり、深刻なトラブルに発展したりすることがあります。

弁護士ドットコムライフが募集した「体験談」に投稿した女子大生の場合、加害者は実の祖父でした。以下、女性からの相談を引用します(一部、表現を変えています)。

「身長156センチで体重が54キロの少しぽっちゃり体型の女子大生です。親も祖父母もみんなぽっちゃり体型です。

私のおじいちゃんは私の家の隣に住んでいます。そしておじいちゃん会うたびに『お前見るたびに太るな。女の体型じゃない。こんなデブみたことない。笑』と笑いながら言われます。何年間も同じことを言われ、ストレスで円形脱毛になったり生理不順になったりしています。

今まで我慢していたのですが、最近も『お前みたいなデブ、女じゃないな。こんな女見たことない』と笑いながら言われ、『関係ないやろ。ほっといて』とさらっと言い家を出ました。

すると、私の母に『お前の娘の態度はなんや!どういう教育してるんや!孫にあんなにボロクソに言われるとは思わんかった。二度となんもしたれへん』とキレられたそうです。

そして縁を切られました。悪いのは100%向こうなのになぜ私がこんな扱いを受けなければいけないのか。親に相談したところ、『お前が悪い』『我慢できないのなら家を出て行け』とまで言われました。

私はおじいちゃんに心を傷つけられました。そして目撃者もいます。できることなら訴えたいです」

女性は、心を傷つけられたことに対して「訴えたい」と考えています。そのような理由で、慰謝料を請求するなど「訴える」ことはできるのでしょうか?寺林智栄弁護士の解説をお届けします。

●「民事上の責任を問われる危険性もある」

「デブ」「お前なんか女じゃない」などの言葉は、親しい間柄だと、気安く冗談交じりに言ってしまいがちです。しかし、法的には、個人の人格を否定する言葉であり、場合によっては民事上の責任を問われる危険性もあるものです。

今回のおじいちゃんの件は、笑いながら言ってはいるものの、何年もの間、顔を合わせる度に言い続け、その結果、女性は体調不良になってしまうほどの精神的な苦痛を味わうこととなりました。

たとえ孫であろうと、他人に対して、いたずらにその容姿をばかにするような言動をしてはいけないことは、常識です。年頃の女性がこんなことを言われれば傷つくことくらい、言われなくてもわかるでしょう。

ですので、おじいちゃんの言動を正当化することはできません。女性は、慰謝料をおじいちゃんに請求することができます。また、円形脱毛症や生理不順がおじいちゃんの言動によるストレスからきたものであることがあきらかになれば、その治療費なども請求することができます。

ただ、親族間の問題は、裁判にするとかえって将来的に大きなしこりが残ることも少なくありません。本来は、間に他の親族や知人が入って、おじいちゃんが反発しない言い方で、女性が傷ついていることを伝えられるのが一番よかったのですが、今回は、親御さんもおじいさんの側についてしまったようですから、裁判もやむを得ない判断なのではないかと思います。

(弁護士ドットコムライフ)

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