12707.jpg
屋根からの「落雪」で通行人がケガしたら・・・建物の持ち主の責任はどうなる?
2013年12月02日 16時15分

雪国はいよいよ冬本番を迎える。あたり一面真っ白に覆われた雪景色は眺める分には美しいが、雪かきや雪下ろしは、豪雪地帯に暮らす人々にとって悩みの種だ。降り積もり、シャーベット状になった屋根雪は氷の固まりのようなもので、落ちたところに居合わせたら命の危険すらある。

屋根雪をめぐり、Q&Aサイトにこんな相談があった。相談者の実家は豪雪地帯の福井県。実家の屋根から落下した雪が隣家の屋根を壊してしまい、損害賠償を求められているのだという。

このように持ち家の屋根から雪が落ちて、物が壊れたり、通行人にケガをさせてしまった場合、家主はどのような責任を負うのだろうか。あらかじめ屋根に雪止めの工事をするなど、落雪防止措置を取っていた場合はどうだろう。雪国・北海道で開業する難波徹基弁護士に聞いた。

雪国はいよいよ冬本番を迎える。あたり一面真っ白に覆われた雪景色は眺める分には美しいが、雪かきや雪下ろしは、豪雪地帯に暮らす人々にとって悩みの種だ。降り積もり、シャーベット状になった屋根雪は氷の固まりのようなもので、落ちたところに居合わせたら命の危険すらある。

屋根雪をめぐり、Q&Aサイトにこんな相談があった。相談者の実家は豪雪地帯の福井県。実家の屋根から落下した雪が隣家の屋根を壊してしまい、損害賠償を求められているのだという。

このように持ち家の屋根から雪が落ちて、物が壊れたり、通行人にケガをさせてしまった場合、家主はどのような責任を負うのだろうか。あらかじめ屋根に雪止めの工事をするなど、落雪防止措置を取っていた場合はどうだろう。雪国・北海道で開業する難波徹基弁護士に聞いた。

●落雪で与えた被害は賠償しなければならない

「建物の所有者または管理者には建物の安全性を確保する義務があり、これには落雪で物や人に損害を与えないことも含まれます。屋根から雪が落ちて、物が壊れたり、通行人にケガをさせてしまった場合、家主は損害を賠償しなければなりません」

自分の家から落ちた雪で誰かに被害が生じた場合には、基本的に賠償責任が生じると考えていいようだ。それでは、どこまで対策をしていれば、「安全性を確保していた」といえるのだろうか。

「落雪防止措置を取っていれば、それだけで賠償責任を免れるかというと、そうもいきません。

どこまでの落雪対策を取っておく必要があるかは、豪雪地帯か、たまにしか降らないか、その地域の降雪量によって違いが出ます。

ただ、実際に落雪事故が生じてしまえば、防止措置は不十分だったとされる可能性が高いでしょう」

しかし、どれだけの雪が降るかは正確に予測できる人はいない。想定以上の大雪が、事故の原因というケースも多いのではないか。

●「天災だから仕方ない」という言い訳は通じない

「過去の降雪量や積雪量などと比較して、想定できないほどの異常気象だったと認められることはごくまれです。天災だから仕方ないという言い訳は通じないと思ったほうが良いでしょう。

通行人が大ケガをするなど結果が重大なこともありますし、リスクが高いことを十分認識して対策を取ることが必要です」

難波弁護士はこのように締めくくり、注意を促していた。家の管理を考える際には、雪がもたらすリスクも十分に考慮し、いざというときのために備えておく必要があるといえそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る