12728.jpg
ブラック保育現場「中堅だけでなく、若手の支援を」国の月給上乗せ案にユニオンが注文
2016年12月06日 20時12分

厚労省は2017年度から、中堅保育士の月給底上げを検討している。これに対し、労働組合「介護・保育ユニオン」は12月6日、厚労省記者クラブで会見を開き、「制度自体は画期的で評価できる」としつつ、「若手保育士にもっと支援を」と意見を述べた。

一般的に保育士は役職が少なく、昇給幅の小ささが人手不足の一因と言われている。厚労省が検討中の新制度は経験や技能を積んだ保育士を対象に、新しい役職を設けるというもの。一定条件を満たせば、月給4万円が上乗せされる。

これに対し、介護・保育ユニオンは「厳しい労働実態や低賃金から1〜2年目でやめてしまう若手が多い。中堅にいたらないで辞めてしまう可能性がある」と主張。若手の給与増額や労働環境の是正を訴えた。

厚労省は2017年度から、中堅保育士の月給底上げを検討している。これに対し、労働組合「介護・保育ユニオン」は12月6日、厚労省記者クラブで会見を開き、「制度自体は画期的で評価できる」としつつ、「若手保育士にもっと支援を」と意見を述べた。

一般的に保育士は役職が少なく、昇給幅の小ささが人手不足の一因と言われている。厚労省が検討中の新制度は経験や技能を積んだ保育士を対象に、新しい役職を設けるというもの。一定条件を満たせば、月給4万円が上乗せされる。

これに対し、介護・保育ユニオンは「厳しい労働実態や低賃金から1〜2年目でやめてしまう若手が多い。中堅にいたらないで辞めてしまう可能性がある」と主張。若手の給与増額や労働環境の是正を訴えた。

●目立つサービス残業

ユニオンには、今年6月の結成以来、保育関係者から86件の労働相談があったという(11月30日時点)。このうち8割で労働基準法違反の可能性があり、賃金未払いについての相談は64件(74.4%)、休憩時間の不足が53件(61.6%)を占めた。特に、行事用の制作物を家で仕上げるなどの「サービス残業」についての相談が多かったそうだ。

相談者の年齢も20代が32.6%でもっとも高く、ユニオンは若手保育士の早期離職を懸念している。実際、相談者の中には、保育士1〜2年目で退職してしまった人もいる。

たとえば、企業が運営する認可保育園で働いていた岩手県の女性(21歳)は、月30〜40時間の残業に加え、自宅でも行事の準備を余儀なくされていた。しかし、残業代はほとんど支払われていなかったという。女性は過労やプレッシャーでうつ病を発症し、約1年で退職。この企業には、賃金未払いや法定の休憩時間を取らせなかったことなどを理由に、労基署から是正勧告が出されている。

同ユニオンは、保育業界でのサービス残業のまんえんを念頭に、仮に国が保育士の給与水準をあげられないとしても、「賃金が適切に支払われるだけで、給与水準は一定程度上昇する」と主張。また、保育士の過労は「保育の質」にも影響するとして、労基法を遵守させるよう、行政の取り組み強化が必要だと訴えた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る