12927.jpg
嵐ライブも入場時に「顔認証」、それでも出品する「転売ヤー」はどんな罪になる?
2016年04月11日 10時48分

「嵐のチケット、ついに顔認証」ーー朝日新聞は4月7日付朝刊で、顔認証の技術を使ったライブチケット転売防止の取り組みを報じた。チケット申し込み時に顔写真を要求し、入場時に本人かどうか照合するという。

記事では、4月下旬から始まる人気アイドルグループ「嵐」の全国アリーナツアーを例に、ライブでの顔認証の広がりを特集。中には精度が99%を超える技術もあると紹介した。

しかし、ネットオークションでは、この嵐のライブチケットが今も20万円を超える価格で取引されている。出品者が「メガネ、茶色ロングヘアー、面長」など、自身の容姿を説明しているのが特徴で、ネットで「顔認証あるからみんな特徴書いてて笑える 」などと話題になっている。

たとえチケットを高額で競り落としても、顔認証があれば入場できない可能性が高い。出品した「転売ヤー」に法的な責任はないのか。伊藤諭弁護士に聞いた。

「嵐のチケット、ついに顔認証」ーー朝日新聞は4月7日付朝刊で、顔認証の技術を使ったライブチケット転売防止の取り組みを報じた。チケット申し込み時に顔写真を要求し、入場時に本人かどうか照合するという。

記事では、4月下旬から始まる人気アイドルグループ「嵐」の全国アリーナツアーを例に、ライブでの顔認証の広がりを特集。中には精度が99%を超える技術もあると紹介した。

しかし、ネットオークションでは、この嵐のライブチケットが今も20万円を超える価格で取引されている。出品者が「メガネ、茶色ロングヘアー、面長」など、自身の容姿を説明しているのが特徴で、ネットで「顔認証あるからみんな特徴書いてて笑える 」などと話題になっている。

たとえチケットを高額で競り落としても、顔認証があれば入場できない可能性が高い。出品した「転売ヤー」に法的な責任はないのか。伊藤諭弁護士に聞いた。

●詐欺罪が成立する可能性

「まず前提として、多くの場合、規約により営利目的で転売されたチケットでのコンサート会場入場は認められていません。今回の嵐のライブにおいても同様の規約が定められているようなので、不正が認められれば入場禁止や退場などの処分を受けることがあります。ただ、こうした不正がすべて犯罪になるかは別の問題です」

転売についてはどのような規定があるのか。

「チケット類の転売を禁止する法令として、各都道府県が制定する迷惑防止条例があります。たとえば、東京都では、転売目的で入場券等を『公共の場所(ライブ会場付近など)』で購入したり、不特定の者に転売しようとしたりすることを禁止しています」

ネットを使った営利目的の転売はどうなのか。

「これまでネットでの転売を禁止するのは難しいと考えられてきました。ネットオークションを『公共の場所』と解釈するのは困難だからです。また現実には、オークションなどで購入したチケットで実際に入場できていることから、法令で取り締まることは困難でした。

ただ、多数のチケットを出品するといった悪質なケースでは『転売目的で購入した』と判断され、摘発されることはあり得ます」

顔認証の本格化は、どう評価できるのか。

「顔認証が本格化すれば、転売されたチケットでは実際に入場することが難しくなると考えられます。

この結果、使用できないチケットであることを知りながら他人に転売した人は、購入者に対して詐欺罪が成立する可能性が出てくることとなりました。

また、本当は転売目的なのに、自分が入場するかのように装ってチケットを購入する行為も、ライブの運営側に対する詐欺罪が成立する可能性があります」


伊藤弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る