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離婚や相続で使われる「調停」 気に入らない「調停委員」は変えてもらえる?
2013年08月25日 17時05分

さまざまなトラブルを解決する方法のひとつに、裁判所で第三者を交えて話し合う「調停」がある。裁判に比べて手続きが簡単で、離婚や相続をめぐるトラブルでは、家庭裁判所の「家事調停」が頻繁に利用されている。

公正中立な第三者である「調停委員」と裁判官をはさみ、話し合いで円満に解決する――これが調停の理想形だ。しかし、なかには「調停委員が不公平だ」と不満を抱く利用者もいる。慣れない裁判所まで足を運んでやっとの思いで窮状を訴えても、調停委員に「その程度のことは、どの家庭にもよくある」などと言われてショックを受けたという声もある。

もちろん調停委員も人の子。思い込みや偏見も少なからずあるだろう。場合によっては、まったく波長が合わないケースもあると思われる。そんなとき、利用者は調停委員を変更してもらうことはできるのだろうか。また、調停委員とはそもそもどんな人が、どのように選ばれるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

●調停委員に選ばれるのは「人格識見の高い人」

「まず、どんな人が調停委員に選ばれるのかについて、簡単に説明します。簡易裁判所の民事調停委員や、家庭裁判所の家事調停委員を任命するのは、最高裁判所です。

調停委員は、以下の(1)~(3)のどれかに当てはまり、人格識見の高い、主に40歳以上70歳未満の人から選ばれます。

(1)弁護士となる資格を有する人

(2)民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する人

(3)社会生活の上で豊富な知識を有する人」

――その条件に当てはまれば、当事者の家族などが調停委員に選ばれてしまう可能性もある?

「調停当事者と調停委員が、家族や利害関係者であるなど、一定の関係にあるため、公正さを欠くおそれがある場合、次の2つの対応がありえます。

まず、当事者の申立や裁判所の職権により、裁判所の判断で、その人を調停委員から除外する『除斥』です。もう一つが調停委員自らがその案件を避ける『回避』です」

――そうなると、「あの人を調停委員にしないで」と言えるのは、当事者と調停委員の間に一定の関係性がある場合だけ?

「現行法ではそうなります。以前は調停の『公正を妨げる事情がある』場合、当事者との関係性がなくても調停委員を変えられる『忌避』という仕組みが使えました。しかし2011年、民事調停法の改正と家事事件手続法の成立で、利用できなくなりました。

その理由は、表向き『調停委員が調停の公正を妨げる事情がある場合には、調停の合意をしないことで対処できる』と説明されていますが、実質的には『忌避制度の濫用を防止するため』だと考えられています。ただ、この改正・立法については批判もあります」

つまり現状では、「考え方が合わないので、調停委員を変えてもらいたい」という主張は認められないということだ。そもそも調停は、第三者の視点を取り入れて話し合うものだといえば、そうなのかもしれないが……。

(弁護士ドットコムニュース)

さまざまなトラブルを解決する方法のひとつに、裁判所で第三者を交えて話し合う「調停」がある。裁判に比べて手続きが簡単で、離婚や相続をめぐるトラブルでは、家庭裁判所の「家事調停」が頻繁に利用されている。

公正中立な第三者である「調停委員」と裁判官をはさみ、話し合いで円満に解決する――これが調停の理想形だ。しかし、なかには「調停委員が不公平だ」と不満を抱く利用者もいる。慣れない裁判所まで足を運んでやっとの思いで窮状を訴えても、調停委員に「その程度のことは、どの家庭にもよくある」などと言われてショックを受けたという声もある。

もちろん調停委員も人の子。思い込みや偏見も少なからずあるだろう。場合によっては、まったく波長が合わないケースもあると思われる。そんなとき、利用者は調停委員を変更してもらうことはできるのだろうか。また、調停委員とはそもそもどんな人が、どのように選ばれるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。

●調停委員に選ばれるのは「人格識見の高い人」

「まず、どんな人が調停委員に選ばれるのかについて、簡単に説明します。簡易裁判所の民事調停委員や、家庭裁判所の家事調停委員を任命するのは、最高裁判所です。

調停委員は、以下の(1)~(3)のどれかに当てはまり、人格識見の高い、主に40歳以上70歳未満の人から選ばれます。

(1)弁護士となる資格を有する人

(2)民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する人

(3)社会生活の上で豊富な知識を有する人」

――その条件に当てはまれば、当事者の家族などが調停委員に選ばれてしまう可能性もある?

「調停当事者と調停委員が、家族や利害関係者であるなど、一定の関係にあるため、公正さを欠くおそれがある場合、次の2つの対応がありえます。

まず、当事者の申立や裁判所の職権により、裁判所の判断で、その人を調停委員から除外する『除斥』です。もう一つが調停委員自らがその案件を避ける『回避』です」

――そうなると、「あの人を調停委員にしないで」と言えるのは、当事者と調停委員の間に一定の関係性がある場合だけ?

「現行法ではそうなります。以前は調停の『公正を妨げる事情がある』場合、当事者との関係性がなくても調停委員を変えられる『忌避』という仕組みが使えました。しかし2011年、民事調停法の改正と家事事件手続法の成立で、利用できなくなりました。

その理由は、表向き『調停委員が調停の公正を妨げる事情がある場合には、調停の合意をしないことで対処できる』と説明されていますが、実質的には『忌避制度の濫用を防止するため』だと考えられています。ただ、この改正・立法については批判もあります」

つまり現状では、「考え方が合わないので、調停委員を変えてもらいたい」という主張は認められないということだ。そもそも調停は、第三者の視点を取り入れて話し合うものだといえば、そうなのかもしれないが……。

(弁護士ドットコムニュース)

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