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就活生の心を打ち砕く「お祈りメール」 企業が不採用の理由を教えてくれないワケ
2019年04月20日 10時18分

「社内で慎重に検討させていただきましたが、貴意に添えない結果となりました。 せっかくご応募いただいたところ大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。今後益々のご活躍を、心よりお祈り申し上げます」。

就職活動で不採用になり、このような「お祈りメール」を受け取ったことがある学生もいるだろう。

ある学生は「会社の目指している方向性との不一致により、貴意に添えない結果となりました」と書かれていたという。しかし、ほとんどの場合はこのようなことが書かれることはなく、なぜ落ちたのかが明かされることはない。

ネット上には「不採用の理由を教えてほしい」、「なぜ不採用になったのか分からないから、憂鬱になったり自信喪失する」という声が多く上がっている。

なぜ、企業は不採用の理由を教えてくれないのだろうか。企業法務にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。

「社内で慎重に検討させていただきましたが、貴意に添えない結果となりました。 せっかくご応募いただいたところ大変恐縮ですが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。今後益々のご活躍を、心よりお祈り申し上げます」。

就職活動で不採用になり、このような「お祈りメール」を受け取ったことがある学生もいるだろう。

ある学生は「会社の目指している方向性との不一致により、貴意に添えない結果となりました」と書かれていたという。しかし、ほとんどの場合はこのようなことが書かれることはなく、なぜ落ちたのかが明かされることはない。

ネット上には「不採用の理由を教えてほしい」、「なぜ不採用になったのか分からないから、憂鬱になったり自信喪失する」という声が多く上がっている。

なぜ、企業は不採用の理由を教えてくれないのだろうか。企業法務にくわしい高島秀行弁護士に聞いた。

●どんな理由で「不採用」にするかは企業の自由

「契約締結の自由は、企業を含め、世の中の誰にでも認められています。したがって、企業が誰と労働契約を締結するかどうかも、原則的には自由なのです」

このように高島弁護士は説明する。

「法律等がない限り、企業には、誰を採用し、誰を不採用とするか、そして、どういう理由で採用したり、採用しなかったりするか、自由に決められる権利があるのです」

男女雇用機会均等法や労働法などの法律による制限はあるものの、「どの人物を採用するか」については、企業側に「採用の自由」が広く認められているようだ。

●企業に「不採用理由」の開示義務はない

では、就活生に「不採用理由を聞く権利」はあるのだろうか。

「企業は権利の行使として不採用にしたわけですから、不採用理由について、第三者が何か言えるわけではありません。

企業には、どういう理由で採用しなかったのかという『不採用理由』を開示する義務はありません。就活生にも、不採用の理由を聞く権利はありません」

このように高島弁護士は述べるが、次のように補足する。

「ちなみに、不採用の理由を聞く権利がないということは、『不採用の理由を聞いてはいけない』ということではありません。聞いても相手企業に回答する義務がない場合を、法律上は『聞く権利がない』と言います。その点は、誤解のないようにしてください」

●学生も内定辞退の理由を告げる必要はない

ちなみに、逆のパターンを考えてみると、就職活動では、学生が突然選考を辞退したり、内定が出た後に、いきなり辞退を告げてくる場面もあるだろう。以前、学生の側から企業に内定辞退の「お祈りメール」を送ったことが話題になったこともあった。この場合に、企業は「辞退の理由」を聞く権利はあるのか。

「労働契約締結の自由は就活生の側にもあります。就活生には、個人情報を開示しないとか、そもそも応募をしないという権利が認められています。

もちろん、内定をもらった後でも、期間の定めのない雇用契約については解約する権利が認められていることから、内定を辞退する権利もあります。その際に、理由を聞かれても、答える義務はありません」

(弁護士ドットコムニュース)

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