13123.jpg
刃渡り4センチ「折り畳みナイフ」が警察に没収された――ファッションでもダメ?
2015年09月17日 10時47分

「刃渡り4cmくらいの小さな折り畳みナイフを持っていたら職質されて没収された」。ネット上の掲示板に、こんな書き込みが投稿された。

投稿者によると、持っていたナイフは刃渡り約4センチの小さなもので、「キーホルダーみたいなレベル」だそうだ。職務質問を受け、持ち物検査をされた際に警察に没収された。使う目的はない「ただのファッション」なのに没収されたことは、納得がいかないという。

今回のようなケースで没収されるのは、仕方ないことなのだろうか。刑事手続に詳しい徳永博久弁護士に聞いた。

「刃渡り4cmくらいの小さな折り畳みナイフを持っていたら職質されて没収された」。ネット上の掲示板に、こんな書き込みが投稿された。

投稿者によると、持っていたナイフは刃渡り約4センチの小さなもので、「キーホルダーみたいなレベル」だそうだ。職務質問を受け、持ち物検査をされた際に警察に没収された。使う目的はない「ただのファッション」なのに没収されたことは、納得がいかないという。

今回のようなケースで没収されるのは、仕方ないことなのだろうか。刑事手続に詳しい徳永博久弁護士に聞いた。

●「正当な理由」がないと、「刃渡り4センチ」でもアウト

「刃体の長さが6センチを超える刃物を所持した場合は、銃刀法22条により処罰対象となり、6センチ未満の刃物を所持した場合は、軽犯罪法1条2号により処罰対象となります」

徳永弁護士はこのように述べる。ただ持っているだけで、アウトなのだろうか。

「どちらの場合も、『正当な理由』がある場合は犯罪にあたりません。

ただ、『正当な理由』といえるためには、研磨・修理・鑑定・売買の目的など、刃物を携帯・運搬することについて、職務上または日常生活上の必要性があり、社会通念上相当と認められる場合に限定されます」

今回のケースはどうだろう。

「刃渡り約4センチのナイフをアクセサリー感覚で持ち歩いた場合は、持ち歩く必要性があったとはいえませんから、社会通念上相当であったとはいえず、『正当な理由』は認められないでしょう。

軽犯罪法1条2号に該当し、1日以上30日未満の拘留、または1000円以上1万円未満の科料の処罰を受けることになります」

●ナイフは返してもらえるのか?

没収された点についてはどうだろう。

「ナイフ所持について軽犯罪法1条2号違反で処罰される場合、そのナイフが『没収』されることはありません(刑法20条)。

今回、ナイフの所持者は捜査機関に『没収された』と思っているようですが、法的には『領置(被疑者が任意提出した物を受け取ること)』または『(現行犯逮捕に伴う)差し押さえ』を受けたのだと思われます」

投稿者は、ナイフを警察から返してもらうことはできるだろうか。

「刑事訴訟法121条2項・3項には、『危険を生ずる虞(おそれ)がある押収物は、これを廃棄することができる』と定められています。おそらく今回のケースも、この条項にしたがって捜査機関の担当者が、ナイフを廃棄していると思われます。

したがって、『領置』または『差し押さえ』を受けた上で適法に『廃棄処分』された場合、ナイフを返してもらうことはできないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る