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SILVAさんも作成した「婚前契約書」一般人にもメリット
2019年06月20日 09時56分

「婚前契約書」や「婚姻契約書」とも呼ばれる結婚契約書。海外では一般的な存在のようですが、日本でも歌手のSILVAさんが作ったとして話題になっています。

これは、夫婦の財産の管理や家事・育児の分担、浮気が判明したときの対処法など、結婚生活で生じるさまざまな問題について、事前に約束を取り交わすもの。

R25(6月12日)で公開されたSILVAさんの婚前契約書テンプレートによると、「互いに思いやりの気持ちをもって、家事の遂行に協力するものとする」「互いにスキンシップをとるよう努めるものとする」などといった内容が書かれている。

結婚契約書を作るメリットはどのようなものだろうか。原口未緒弁護士に聞いた。

「婚前契約書」や「婚姻契約書」とも呼ばれる結婚契約書。海外では一般的な存在のようですが、日本でも歌手のSILVAさんが作ったとして話題になっています。

これは、夫婦の財産の管理や家事・育児の分担、浮気が判明したときの対処法など、結婚生活で生じるさまざまな問題について、事前に約束を取り交わすもの。

R25(6月12日)で公開されたSILVAさんの婚前契約書テンプレートによると、「互いに思いやりの気持ちをもって、家事の遂行に協力するものとする」「互いにスキンシップをとるよう努めるものとする」などといった内容が書かれている。

結婚契約書を作るメリットはどのようなものだろうか。原口未緒弁護士に聞いた。

●SILVAさんの婚前契約書「紛争を未然に防止する点ではすごくいい」

SILVAさんの婚前契約書で気になる点はありましたか。

「毎年1月1日に婚前契約の内容を確認するところがユニークだと思いました。毎年確認することによって、婚前契約書を作成した結婚当初の気持ちを忘れてしまっていないか、ないがしろになってしまっていたことなどを思い返すいいきっかけになると思います。

また、離婚の際の条件などについて、『甲又は乙が、本契約の条項を遵守せず、その改善も見込めない場合には、甲と乙は離婚するものとする』などと書かれているのもユニークだと思いました。

これだと、離婚の際に揉めようがありません(笑)。紛争を未然に防止する点ではすごくいいな、合理的だなと思いました」

●夫婦関係が破綻した後は、取り消しが認められない

「結婚契約書」の目的として、離婚時のトラブルを防ぐという目的もあるかと思います。婚前契約書に法的な効力はあるのでしょうか。

「夫婦間の結婚に関する契約も、法的な効力があり、内容が公序良俗に反するようなものでない限りは、どのような契約を結ぶこともできます。

また、民法754条には『夫婦間で交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができる』との定めがあります。ただ、過去の判例では、夫婦関係が破綻した後は、取り消しが認められないと判断されています」

SILVAさんたちは、自分たちで土台として作ったものを、弁護士にブラッシュアップしてもらって、公正証書にしてもらったそうです。公正証書にする利点を教えてください。

「金銭の支払い約束について、契約通りに支払われなかった場合、結婚契約書のケースは公正証書で取り決めていても最終的には裁判や調停といった手続きを経ないと、相手に対して支払いを強制することができません。ですが、公正証書は法的な効力があるので、契約したことを証明する証拠として提出できます。

公正証書にすることによって、公証人という公的な人の前で、お互いサインをして、内容を遵守することをお互いに誓いますし、公証役場に原本が保管されることなどによって、心理的に、お互い気持ちが引き締まり、約束を守っていこう、真摯にやっていこう、という気持ちになるのではないかと思います」

●婚前契約書「安心材料になる」

こうした婚前契約書は日本でもメジャーになっていくと思いますか。

「結婚前に、何を大切にしているのか、価値観やポリシーを共有し、婚前契約書を2人で作り出す作業は、どのような夫婦、家族、家庭を築いていきたいのかという理想像やビジョンが明確になってとてもよいと思います。

結婚してみてから、親や親族との付き合いなどをめぐって、お互い大事にしていることや価値観のズレが明らかになることはよくあります。

そういったポリシーを共有せずに、お互いに自分が考えていることが当然と思って、相手にも要求したり、『なんで同じようにしないのだろう』と思ったりすることが夫婦ケンカの理由になっていることが多いです。

ですから、結婚前に、2人で理想の夫婦像や家庭像のようなものを話し合い、共有することで、向かっている先が明確になりますし、努力もしやすくなります。お互い違う努力をしていた、なんてこともよくあります。

それに離婚時の条件や財産に関することなどを定めておくのは、安心材料になりますので、日本でもメジャーになっていくことも予想されるのでは、とも思います」

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