13256.jpg
注射したくないのに・・・インフルエンザ「予防接種」を会社から命じられたら断れる?
2014年12月18日 15時51分

インフルエンザが流行のシーズンを迎えた。国立感染症研究所によると、2014年12月10日の時点で、1週間あたりの患者数が16万人と推定されるという。インフルエンザは予防が重要だが、勤務先の会社からワクチン接種を推奨されることもあるだろう。

あるネットの掲示板では、高齢者施設の厨房で働くパート従業員が、会社から、ワクチン接種を義務づけられたと書き込んでいた。高齢者にインフルエンザをうつさないためという理由なのだが、この投稿者は「人にうつさないためと言われると抵抗を感じます」と、ワクチン接種を拒否することを考えているようだ。

一般的には「痛いのが苦手」などの理由で、予防接種を嫌がる人も多そうだが、会社からのワクチン接種命令に従う義務はあるのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

インフルエンザが流行のシーズンを迎えた。国立感染症研究所によると、2014年12月10日の時点で、1週間あたりの患者数が16万人と推定されるという。インフルエンザは予防が重要だが、勤務先の会社からワクチン接種を推奨されることもあるだろう。

あるネットの掲示板では、高齢者施設の厨房で働くパート従業員が、会社から、ワクチン接種を義務づけられたと書き込んでいた。高齢者にインフルエンザをうつさないためという理由なのだが、この投稿者は「人にうつさないためと言われると抵抗を感じます」と、ワクチン接種を拒否することを考えているようだ。

一般的には「痛いのが苦手」などの理由で、予防接種を嫌がる人も多そうだが、会社からのワクチン接種命令に従う義務はあるのだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

●業務命令の必要性や合理性が認められない

「原則として、ワクチン接種命令に従うべき義務はありません。

ワクチン接種は、可能性は低いものの、副作用のリスクがあります。また、ワクチン接種以外でも、インフルエンザ等の蔓延を防ぐべき手立てはありますので、まずはそちらを優先的に行うべきです」

では、接種を業務命令として命じたのに従わなかった場合、懲戒処分はできないということか。

「いかに就業規則等の労働契約上の根拠があったとしても、そのような業務命令の必要性や合理性は認められないため、ワクチン接種を業務命令として命じることはできません。

そのため、拒否したからといって、懲戒処分を科すことはできないと考えるべきです」

例外は認められないのだろうか。

「例外的に、医療従事者など、患者に接する機会が多く、かつ、感染してしまった場合に感染拡大を招く業務に従事する労働者に対しては、就業規則等の労働契約上の根拠があれば、ワクチン接種を命じることができると考えられます。

『新型インフルエンザ』の予防接種については、業務命令に基づいて接種を受けた医療従事者に副作用などが発生した場合、労災として取り扱う通達も存在しています」

この相談者のように高齢者施設で働く場合は、どうなのか。

「高齢者施設の厨房で働く人に予防接種を命じられるかどうかですが、医療従事者のような高度な接種の必要性はないと考えられます。

調理に当たって感染予防の処置を取ったり、感染の兆候がでたスタッフの出勤を禁じたりすることで対応するべきです」

原弁護士はこのように語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る