1343.jpg
職場の「パワハラ発言」こっそり録音――裁判で「証拠」に使うことができるか?
2014年06月28日 13時47分

上司から受ける暴言や無視、陰口といった嫌がらせ行為。こういった職場の権力を利用した嫌がらせは「パワーハラスメント(パワハラ)」と呼ばれ、社会問題になっている。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」コーナーにも、上司から陰口をたたかれているという悩みが寄せられている。会社に訴えても事態が良くならなかったため、投稿者は職場にボイスレコーダーを置き、自分がいないときの陰口を録音したそうだ。

投稿者は、その録音を「証拠」として改善を要求したいと考えているが、逆に上司から「違法録音だ」と言われないか心配しているという。こうした録音行為は「違法」なのだろうか。また、隠しどりした音声は裁判などで「証拠」として使えるのだろうか。労働問題にくわしい白川秀之弁護士に聞いた。

上司から受ける暴言や無視、陰口といった嫌がらせ行為。こういった職場の権力を利用した嫌がらせは「パワーハラスメント(パワハラ)」と呼ばれ、社会問題になっている。

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」コーナーにも、上司から陰口をたたかれているという悩みが寄せられている。会社に訴えても事態が良くならなかったため、投稿者は職場にボイスレコーダーを置き、自分がいないときの陰口を録音したそうだ。

投稿者は、その録音を「証拠」として改善を要求したいと考えているが、逆に上司から「違法録音だ」と言われないか心配しているという。こうした録音行為は「違法」なのだろうか。また、隠しどりした音声は裁判などで「証拠」として使えるのだろうか。労働問題にくわしい白川秀之弁護士に聞いた。

●パワハラ・セクハラの証拠集めは「犯罪」ではない

「パワハラやセクハラの証拠として、加害者の声をICレコーダーなどでこっそりと録音すること自体は、なんらの犯罪行為にも該当しません。

また、こっそりと録音したことで、慰謝料等を支払わなければならない、ということもありません」

プライバシーの侵害になるのでは?

「録音場所は、自分の所属する職場です。また、録音した会話のうち、証拠として使うのは被害者(投稿者)のことを話している部分です。少なくとも、会話のその部分は、加害者のプライバシー権を侵害するとはいえません」

では、内緒で録音した内容を、裁判などの証拠に使うことは可能だろうか。

「そうですね。録音した音声データを、パワハラやセクハラを理由とする損害賠償請求訴訟で、証拠として使うことは問題ありません。ただし、もしそれが『著しい反社会的手段により』採集した証拠だと見なされれば、裁判で使えない場合もあります」

●職場の会話の「隠しどり」は証拠になるか?

「著しい反社会的手段」とは、いったい、どんな手段なのだろう。

「録音ならたとえば、『秘密にしておくから』『録音はしていないから』と相手をだまして、こっそり録音をしたような場合でしょう。また、自分以外の第三者と会話している様子を盗聴するような場合も、当てはまるときがあると思います。このような場合には、ケースバイケースですが、証拠として使えないことがあるでしょう」

それでは、今回の事例は?

白川弁護士は「自分がパワハラやセクハラの被害を受けているとき、その証拠を集めるために、職場の会話をこっそり録音する程度でしたら、それを『反社会的』というのは難しいと思います。裁判でも証拠として使えるでしょうね」と話していた。

なかなか無くならないパワハラ・セクハラ。録音などで、しっかりと証拠を集められれば、救済に一歩近づけるかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る