3720.jpg
退去時に求められた「修繕費5万円」耐用年数を話したら大幅値下げ…どういう仕組み?
2016年08月20日 08時36分

賃貸住宅を退去する際に、壁紙とクッションフロアの張り替え代5万円を要求されたが、国交省の原状回復をめぐるガイドラインを無視した金額だと伝えると、大幅に値段が下がったーー。そんなツイートが話題になった。

投稿主はこの住宅に5年間住んでいた。不動産業者から合計5万円を要求された際に、ガイドラインで壁紙とクッションフロアの耐用年数が6年と定められていることを理由に、負担額は、残り1年分の額であることを主張したところ、不動産業者から「ご存知でしたか?!」と言われ、金額がいきなり6分の1になったそうだ。

投稿主は、「無知では毟り取られる世の中」と語っているが、この原状回復の仕組みとはどういうものだろうか。また、ガイドラインはどのような場面で役に立つのだろうか。弁護士に聞いた。

賃貸住宅を退去する際に、壁紙とクッションフロアの張り替え代5万円を要求されたが、国交省の原状回復をめぐるガイドラインを無視した金額だと伝えると、大幅に値段が下がったーー。そんなツイートが話題になった。

投稿主はこの住宅に5年間住んでいた。不動産業者から合計5万円を要求された際に、ガイドラインで壁紙とクッションフロアの耐用年数が6年と定められていることを理由に、負担額は、残り1年分の額であることを主張したところ、不動産業者から「ご存知でしたか?!」と言われ、金額がいきなり6分の1になったそうだ。

投稿主は、「無知では毟り取られる世の中」と語っているが、この原状回復の仕組みとはどういうものだろうか。また、ガイドラインはどのような場面で役に立つのだろうか。弁護士に聞いた。

●法的拘束力はないが、交渉の材料として利用できる

「建物の賃貸借契約においては、契約が終了したら、賃借人がその建物(部屋)を『原状に回復して』退去する必要があるとされているのが通常で、この場合、賃借人(借主)は、原状回復のための費用を負担することになります(原状回復義務)。

建設省(現国土交通省)は、従来からの裁判所の判断などを考慮して、『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を取りまとめました。賃借人は、原則として、通常の使用をしても発生すると考えられる建物の損耗・毀損(経年変化・通常損耗)についての原状回復義務はなく、賃借人の落ち度による損耗・毀損についてのみ原状回復義務を負うとしました(ただし、特約があれば、賃借人が経年変化・通常損耗分についても原状回復義務を負う場合があります)。

そして、賃借人は、原状回復義務を負う場合でも、経年変化・通常損耗分は既に賃料として支払ってきているから、建物や設備によっては、その経過年数が多いほど賃借人の費用の負担の割合を減少させるべきとされました」

今回のケースで出てきたクッションフロアや壁紙はどうなのか。

「クッションフロアや壁紙は、6年で価値が1円になるような負担の割合とすべきと考えられています(ただし、設備によっては経過年数を考慮しないものもあります)。つまり、5年経過していれば、賃借人の負担割合はほぼ6分の1ということになります。

このガイドラインは、あくまで一般的な基準であり、法的拘束力を持つものではありませんが、従来からの裁判所の考え方などに沿ったもので、現在も、裁判所などはおおむねこのガイドラインに沿って判断をしています。ですから、退去の際に不動産業者や賃貸人との原状回復費用負担についての交渉の材料として十分に利用できます」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る