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コンビニで「約5万円」のお釣りを受け取り逮捕――気づかなくても「犯罪」になるの?
2015年05月26日 15時32分

コンビニの会計で、本来よりも多くのお釣りを受け取ったと気づきながら、そのまま持ち去ったとして、宮城県石巻市の女性が5月下旬、詐欺の疑いで宮城県警に逮捕された。

報道によると、女性は今年3月下旬、石巻市のコンビニで携帯電話料金を支払った。その際、本来なら約3000円の釣り銭のはずが、約4万8000円を渡された。ところが女性は、金額が間違っていると気づきながら、渡された金銭を持ち去った疑いが持たれている。料金は約10万2000円で、女性は約10万5000円を支払ったが、店員は約15万円とレジに誤って打ち込んだのだという。

今のところ、女性は「気づかなかった」と容疑を否認しているようだ。ネット上では「気づかない可能性はありそう」といった同情の声も見られる。今回のようなケースの場合、もし本当に「気づかなった」としたら、どうなるのだろうか。刑事事件にくわしい西口竜司弁護士に聞いた。

コンビニの会計で、本来よりも多くのお釣りを受け取ったと気づきながら、そのまま持ち去ったとして、宮城県石巻市の女性が5月下旬、詐欺の疑いで宮城県警に逮捕された。

報道によると、女性は今年3月下旬、石巻市のコンビニで携帯電話料金を支払った。その際、本来なら約3000円の釣り銭のはずが、約4万8000円を渡された。ところが女性は、金額が間違っていると気づきながら、渡された金銭を持ち去った疑いが持たれている。料金は約10万2000円で、女性は約10万5000円を支払ったが、店員は約15万円とレジに誤って打ち込んだのだという。

今のところ、女性は「気づかなかった」と容疑を否認しているようだ。ネット上では「気づかない可能性はありそう」といった同情の声も見られる。今回のようなケースの場合、もし本当に「気づかなった」としたら、どうなるのだろうか。刑事事件にくわしい西口竜司弁護士に聞いた。

●その場で「気づかない」ことも多いのでは?

「世の中には、本来よりも多くのお釣りを受け取った場合、魔が差すという人もいるのかもしれませんね・・・」

西口弁護士はこう切り出した。どうして詐欺に問われるのだろうか。

「今回のようなケースでは、まず客に『お釣りが多すぎる』と店側に告げる『信義則上の義務』が発生します。

こうした義務があるにもかかわらず、店員の勘違いに乗じて、そのままお釣りを受け取って、立ち去った場合、『詐欺』にあたります(刑法246条・10年以下の懲役)」

しかし、お釣りをきちんと確認せず、そのまま財布にしまう人もいるかもしれない。その場で、「お釣りが多すぎる」と気づかなかったとしても、詐欺罪になるのだろうか。

「その場合は、詐欺罪にはあたりません。詐欺罪が成立するには、自分が他人をあざむいて、財物をだましとっているという認識、すなわち『故意』が必要だからです。たしかに少額のお釣りなら、気づかないということもありうるでしょう」

このように西口弁護士は説明する。

「しかし、今回のケースは、お釣りとして約4万8000円も受け取ったことがポイントになるでしょう。通常、お釣りとして『1万円札』を受け取ることはありませんよね。警察も、1万円札を4枚も渡されてその場で気づかないことはあり得ないと、判断したのかもしれません」

もし、あとから「お釣りをもらいすぎた」と気づいたけど、お金を返さなかった場合は、どんな罪に問われるのだろうか。

「あとから『もらいすぎ』に気づいた場合も、すぐ店に返さないといけません。

もし、もらいすぎたお釣りを『自分のモノにしよう』としたら、その時点で『占有離脱物横領』になるでしょう。(刑法254条・1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料)。

したがって、気づいた時点で正直に申し出るべきです」


西口弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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