13511.jpg
加害者親の苦悩…19歳の息子が「オレオレ詐欺の受け子」に…この後どうなる?
2018年10月07日 09時14分

19歳の息子がオレオレ詐欺の「受け子」となり、逮捕されたという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

相談者によると「息子はお金を指定された場所に運んでいたようで、同年代の3人で数件やっていたようです」とのこと。警察からは「共犯性があるもの、ないものを含めて4件ある」と説明されたそうです。

相談者は「示談はできないでしょうか」と聞いています。そもそも、刑事事件で「示談」はできるのでしょうか。また今回、相談者の息子は19歳です。示談に至らなかった場合は、どのような処分を受けることになるのでしょうか。中原潤一弁護士に聞きました。

19歳の息子がオレオレ詐欺の「受け子」となり、逮捕されたという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

相談者によると「息子はお金を指定された場所に運んでいたようで、同年代の3人で数件やっていたようです」とのこと。警察からは「共犯性があるもの、ないものを含めて4件ある」と説明されたそうです。

相談者は「示談はできないでしょうか」と聞いています。そもそも、刑事事件で「示談」はできるのでしょうか。また今回、相談者の息子は19歳です。示談に至らなかった場合は、どのような処分を受けることになるのでしょうか。中原潤一弁護士に聞きました。

●オレオレ詐欺の受け子は刑法上「詐欺罪」に

ーー刑事事件で「示談」はできるのでしょうか。

「被害者の方に応じていただければ、刑事事件で示談をすることができます。この示談は、犯してしまった罪の処分や刑を決める際に、被疑者・被告人に有利な方向で考慮されます。

また、示談ができるかできないかに関わらず、オレオレ詐欺の受け子は刑法上『詐欺罪』に問われることになります」

ーー相談者の子どもは19歳です。20歳以上の場合となにか手続きはちがうのでしょうか。

「お子さんが19歳であるとすれば、成人の刑事手続きではなく、少年事件として取り扱われます。少年事件の場合には、単に犯してしまった罪の軽さ・重さだけではなく、その少年を国家がどの程度保護する必要があるか(これを『要保護性』といいます)という点が考慮されます。

国家がその少年を保護する必要性が高ければ高いほど、国家が再度その少年を教育する必要が出てくることになります。そのため、要保護性が高ければ、少年院に送致するという判断になりやすいといえます」

●示談に至らなければ、少年院送致になる可能性は相対的に高くなる

ーー示談が成立することで、少年院に送致される可能性は低くなるのでしょうか。

「示談が成立すれば、一定の責任をすでに取り、また責任を取ることができるご家庭で生活しているということになりますから、要保護性は一定程度減少すると言えるでしょう。

しかし、少年審判では示談の成立だけではなく、これまで少年がしてきたことや少年の社会に対する考え方、心理状態、周囲の友達付き合い、環境等のさまざまな要素が考慮されることになります。そのため、示談ができたこと、あるいはできなかったことを決定的に重視するという考え方には立っていません。

ただ、示談に至らなかった場合は、示談に至った場合よりも少年院送致になる可能性は相対的に高いといえるでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る