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退所後に名前が使えなくなったV系バンドが二審も勝訴 「半年間の活動禁止」も無効に
2022年12月28日 11時49分

退所後半年間の活動禁止などを不服として、ヴィジュアル系ロックバンドのメンバー4人が元所属先の芸能事務所を訴えていた訴訟は12月26日、知財高裁(本多知成裁判長)で判決があり、元事務所側に約400万円の支払いが命じられた。

一審では認められなかった、半年間の活動禁止も公序良俗に反して無効と判断された。

退所後半年間の活動禁止などを不服として、ヴィジュアル系ロックバンドのメンバー4人が元所属先の芸能事務所を訴えていた訴訟は12月26日、知財高裁(本多知成裁判長)で判決があり、元事務所側に約400万円の支払いが命じられた。

一審では認められなかった、半年間の活動禁止も公序良俗に反して無効と判断された。

●経緯

訴えていたのは、「FEST VAINQUEUR(フェスト ヴァンクール)」のメンバーたち。

判決などによると、同グループは2010年の結成以来、同じ事務所に所属していたが、2019年4月に契約解除を申し入れ、同年7月に契約が終了した。

契約が終わると、元事務所からバンド名の変更などの活動制限を求められ、ライブ会場やチケット販売会社などに契約や販売の中止を催告されるようになった。これにより、一時は「FV」の名義で活動した。

一審・東京地裁判決は、グループ名の使用禁止について、グループの営業権を侵害すると判断。元事務所側に約90万円の賠償を命じた。元事務所側は判断を不服として控訴。グループ側も半年間の活動禁止の違法性が認められなかったことを不服として控訴した。

●バンドの活動を制限しても元事務所の利益は生じない

判決はまず、長期間実演家として活動してきたメンバーたちの活動を制限することは、職業選択の自由や営業の自由を制約するものだとして、活動禁止に合理性があるかを判断した。

元事務所側は、先行投資を回収するためと主張したが、裁判所はバンドの活動を制限しても、元事務所に利益は生じないとバッサリ。所属が始まった2010年から約9年がたっており、専属契約が複数回更新されていることから、回収は当然に終了していると考えられるなどとして、活動制限は公序良俗に反して無効だと判断した。

また、グループ名の使用禁止についても、パブリシティ権と氏名表示権は、人格権に基づく権利であり、元事務所側に譲渡できるとは考えづらいと判示。そのうえで、契約書上もグループ名の使用禁止についての根拠はないとした。

これらの判断に基づき、元事務所がライブハウスやチケット販売会社に公演の中止などを催告したことを営業権の侵害と判断。また、催告時、一部の取り引き相手に送った、「一般常識からは到底許されない行為」などとする書面について、メンバーらの名誉を毀損するものだとも認定した。

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