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残業「月100時間まで」政府案、過労死遺族が反発「人災、繰り返さないで」
2017年02月10日 16時30分

長時間労働の是正をめぐり、残業時間を最大で月100時間までとする政府案について、過労死遺族らから反発の声が上がっている。「過労死ライン」と呼ばれる、月80時間を超える時間外労働を政府が容認することになるからだ。

2月10日には、衆議院議員会館で、政府案の見直しなどを求める集会があり、全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんが、「過労死は人災です」「これ以上、辛い思いをする遺族を作らないでください」と訴えた。

長時間労働の是正をめぐり、残業時間を最大で月100時間までとする政府案について、過労死遺族らから反発の声が上がっている。「過労死ライン」と呼ばれる、月80時間を超える時間外労働を政府が容認することになるからだ。

2月10日には、衆議院議員会館で、政府案の見直しなどを求める集会があり、全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さんが、「過労死は人災です」「これ以上、辛い思いをする遺族を作らないでください」と訴えた。

●「政府は『企業利益のため、命を投げ打って働け』と言うのか?」

現行の労働基準法では、労使間で「特別条項」を結べば、年6カ月まで上限なしの時間外労働が可能になる。政府はこの特別条項に上限時間を設定する方針だ。

しかし、政府案では、「月平均60時間」を基本としつつ、繁忙期の上限については「月100時間、2カ月平均80時間」になる見込み。過労死判定では、時間外労働が1カ月100時間、あるいは、2〜6カ月平均80時間が目安とされていることから、規制が甘いと批判が上がっている。

寺西さんは、政府案について「80時間、100時間。これは過労死する時間です。こうした働き方を国が合法化するというのは、『企業利益のためには命を投げ打って働け』という意味合いがあるように思います」と批判した。

寺西さんは、「長時間労働を強いる企業は犯罪です」とも述べ、「過労死は働き方を変えれば必ず防ぐことができます」と、長時間労働を美徳とする社会からの転換を訴えた。

●高橋まつりさん母「残業隠しや36協定違反には厳しい罰則を」

集会には、2015年に過労自殺した電通社員の高橋まつりさんの母・幸美さんもビデオメッセージを寄せた。幸美さんは、残業の上限規制を有効にするため、「残業隠しや36協定違反には、厳しい罰則を定めるのが大事だと思います」と述べた。

また、まつりさんが徹夜続きの末、うつ病に至ったことから、「1日でも早く(勤務間)インターバル規制の制度を作り、労働者が睡眠時間を確保できるようにしてください」とも要望した。

このほか、約7年前、息子を過労自殺で失った高知県の男性は、「親よりも先に、手塩にかけた息子を亡くすことがどんなに辛いことか、皆さんは分かりますか。私のような苦しみを味わう親をこれ以上作らないでください」と、政府案の見直しを求めていた。

●上限規制とともに検討されている「高プロ制」「裁量労働制」

政府は、残業の上限規制を進める一方で、一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ制)」の導入や、「裁量労働制」の拡大も目指している。

過労死問題に長年取り組んでいる川人博弁護士は、政府方針を次のように非難した。

「ほとんどの場合、10時間以上働いても、8時間労働とみなされる。当然、裁量労働制度の導入は長時間労働を促進する」

「高プロは労働法そのものの破壊と言っても良い。長時間労働で高度のプロの仕事が果たせるのか。過労死寸前の長時間労働を繰り返すことで、日本の技術革新や企画開発が本当に促進されるのか」

川人弁護士は「(労働の)規制こそ求められる。緩和する法律はあってはならない」と力を込めた。

(弁護士ドットコムニュース)

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