13901.jpg
朝倉未来さん母、2審も敗訴 顔写真掲載による「肖像権侵害」認めず…SNS認知度など考慮
2023年05月23日 18時19分
#裁判 #朝倉未来

格闘家でYouTuberの朝倉未来さんの母親が、許可をとらずに撮影された写真を記事にされたのは肖像権侵害にあたるとして、ニュースサイト「Smart FLASH」を運営する出版社に慰謝料など110万円や写真の削除をもとめていた訴訟の控訴審で、東京高裁(鹿子木康裁判長)は5月23日、原告の控訴を棄却した。

有名な息子たちのYouTubeチャンネルに出演するなどした母親の社会的立場を「一般私人とは言いがたい」とした今年1月の1審・東京地裁判決が覆ることはなかった。(編集部・塚田賢慎)

格闘家でYouTuberの朝倉未来さんの母親が、許可をとらずに撮影された写真を記事にされたのは肖像権侵害にあたるとして、ニュースサイト「Smart FLASH」を運営する出版社に慰謝料など110万円や写真の削除をもとめていた訴訟の控訴審で、東京高裁(鹿子木康裁判長)は5月23日、原告の控訴を棄却した。

有名な息子たちのYouTubeチャンネルに出演するなどした母親の社会的立場を「一般私人とは言いがたい」とした今年1月の1審・東京地裁判決が覆ることはなかった。(編集部・塚田賢慎)

●母親は控訴審で「SNS上の認知度のみに着目すべきではない」と反論

光文社が運営するニュースサイト「Smart FLASH」は2021年12月、朝倉さんの母親をノーアポで直撃取材し、実名と顔写真入りの記事を掲載した。

1審判決は「社会生活上受忍の限度を超えた人格的利益の侵害が生じたということはできない」として肖像権侵害を認めなかった。

その判断にあたって、取材の目的や方法の選択として不合理と言えず、写真掲載が正確な報道のためにあることを否定できないなどとしたほか、母親を「完全な一般私人であるとは言いがたい」からなどの事情が考慮された。

民間で働く母親について、1審判決が「公人や公人に準ずる立場にあるとまではいえないものの、完全なる一般私人とまではいい難い面がある」としたのは、朝倉さんと弟の海さんのYouTubeチャンネルに少なくとも5回出演し(再生回数計1400万回超)、フォロワー数1万4000人の自身のインスタグラムで自らの容ぼうを広く公開していたことを理由にあげていた。

この点、判決文によれば、母親側は控訴審で、

・SNS上の認知度のみに着目し、「完全な一般私人であるとはいい難い」として肖像権の要保護性を否定すべきではない
・母親は一定の知名度があるとはいえ、それは著名人である息子たちの知名度に付随するもので、自らの知名度を利用して芸能活動などしていない
・息子らのYouTubeチャンネルへは自ら出演したものであり、自宅で不意打ち的にされた撮影とは違う

などと主張したが、東京高裁は、母親の社会的地位も含めて、1審判決の考えを支持した。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る