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「注文の多い料理店」ならぬ「違法の多い料理店」? ブラック過ぎるフレンチレストランの実態
2025年01月03日 09時31分
#パワハラ #ブラック企業 #長時間労働 #賃金未払い

一見、優雅なフランス料理店でも、その舞台裏は過酷なようです。あるフランス料理店に社員として入り、働いているという人から、その職場環境について弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

相談者は自身の職場は「ブラック」だとして、「法的な問題があるのでは」と疑問を持っているとのことです。その理由として、次のようなことが横行しているといいます。

まず、採用時の労働条件には「9時〜23時の間で実働8時間」と記載されていましたが、実際には毎日8時〜24時の勤務になっているとのことです。

また、タイムカードがなく、労働時間が記録されていません。残業代込みの給与になっており、時間外手当や深夜手当はなく、5時間働いても出勤扱いされずに休日扱いになるなど長時間労働が常態化しているそうです。なお、休憩時間は16時から1時間と決まっていますが、休憩していても仕事を命じられることがあり、十分にとれないといいます。

さらに相談者が問題視しているのが、職場内のハラスメントです。部下を「ハゲ」「じじい」などと呼び、「使えねえ」といった暴言があるといいます。加えて、「部下の足や尻を蹴る」「部下の頭を調理器具で殴る」「部下の調理服のえりを乱暴つかんで引っ張る」といったことまであるとのことです。

このレストランには、多くの法的問題がありそうです。田村優介弁護士に一つ一つ解説してもらいました。

一見、優雅なフランス料理店でも、その舞台裏は過酷なようです。あるフランス料理店に社員として入り、働いているという人から、その職場環境について弁護士ドットコムに相談が寄せられています。

相談者は自身の職場は「ブラック」だとして、「法的な問題があるのでは」と疑問を持っているとのことです。その理由として、次のようなことが横行しているといいます。

まず、採用時の労働条件には「9時〜23時の間で実働8時間」と記載されていましたが、実際には毎日8時〜24時の勤務になっているとのことです。

また、タイムカードがなく、労働時間が記録されていません。残業代込みの給与になっており、時間外手当や深夜手当はなく、5時間働いても出勤扱いされずに休日扱いになるなど長時間労働が常態化しているそうです。なお、休憩時間は16時から1時間と決まっていますが、休憩していても仕事を命じられることがあり、十分にとれないといいます。

さらに相談者が問題視しているのが、職場内のハラスメントです。部下を「ハゲ」「じじい」などと呼び、「使えねえ」といった暴言があるといいます。加えて、「部下の足や尻を蹴る」「部下の頭を調理器具で殴る」「部下の調理服のえりを乱暴つかんで引っ張る」といったことまであるとのことです。

このレストランには、多くの法的問題がありそうです。田村優介弁護士に一つ一つ解説してもらいました。

●これだけある!法律に違反する恐れのある問題

【実際には長時間労働にもかかわらず、採用条件を偽って従業員を募集する行為】

まず、「労働基準法違反」になります。

労働基準法15条では、労働契約を締結する際、労働時間や賃金等の労働条件を明示することが義務付けられています。

採用時に虚偽の労働条件を提示し、長時間労働を強いることは同条に違反し、30万円以下の罰金が定められている重大な違法行為です(同120条1項)。

また、明示された労働条件が事実と異なっている場合には、労働者は、即時に労働契約を解除できる、という定めもあります(同15条2項)。

それから「職業安定法違反」にも該当します。

採用広告に虚偽の記載をすることは職業安定法5条の3・1項にも違反します。

【タイムカードがなく、従業員の労働時間を事業者が把握していないこと】

「労働安全衛生法違反」になります。

事業者は労働者の労働時間を適切に管理しなければなりません。タイムカードや出勤簿などの労働時間管理の手段がない場合、労働時間を正確に把握できず、過重労働や時間外労働の未払いなどの問題が発生する可能性が高まるからです。

労働安全衛生法はこのことを受けて、労働時間の状況の把握義務を定めています。

【従業員の休憩時間をきちんととっていないこと】

「労働基準法違反」になります。

労働基準法34条は、6時間を超える労働に対して45分以上、8時間を超える労働に対して1時間以上の休憩を取らせる義務を定めています。従業員に対して適切な休憩時間を与えないことは、同条に違反します。

【部下を「ハゲ」「じじい」「使えねえ」と罵倒すること】

「安全配慮義務違反」に当たります

事業者は、職場における従業員の安全や精神的な健康に配慮する義務があります。

暴言による精神的な苦痛を与える上司を漫然と放置しておくことは、職場が果たすべき安全配慮義務を放棄しているといえ、会社には民事上の責任が生じます。

さらに通称「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法)にも抵触します。

パワーハラスメント問題のまん延を受けて、2019年「労働施策総合推進法」が成立し、一定規模以上の企業がパワハラ防止措置をとらなければならないことを義務化しました。さらに、2022年からは、防止措置を中小企業を含む全ての事業主に義務としました。

【部下の足や尻を蹴る、部下の頭を調理器具で殴る、部下の調理服のえりを乱暴に掴む】

「暴行罪・傷害罪」(刑法)に当たります。

足や尻を蹴ったり、頭を殴る行為は暴行罪であり、相手がけがをした場合には傷害罪に該当します。

それから、「安全配慮義務違反」にもなります。

これらの行為を放置した事業主も、もちろん職場における安全配慮義務違反を問われることになります。

●従業員はどう対策すればいい?

では、こうした事業者に対して、どのような対策がとれるのでしょうか。

【長時間労働・虚偽の労働条件、残業代未払いについて】

(1)労働基準監督署へ相談・申告

労働基準監督署に相談し、長時間労働や虚偽の労働条件について調査を依頼することが可能です。監督署は事業所に対して調査を行い、違法な場合は是正を命じることができます。

(2)弁護士への依頼

弁護士へ依頼し、不払い分につき残業代の請求などを行うことが可能です。

その場合には、自分の勤務時間や労働内容を記録しておくことが重要です。メールやライン(家族に「帰ります」と毎日ラインするなど)、出勤記録、メモ、職場の時計を毎日撮影する、自転車置き場のレシート、などなど、様々なものを証拠としてあつかうことができますので、タイムカードがないからといってあきらめる必要はありません。

【休憩時間が取れない場合】

とれていない休憩時間が労働時間であったとして、残業代請求を行うことが可能です。

【パワーハラスメント、暴言、暴力を受けた場合】

(1)民事上の損害賠償請求

パワーハラスメントにより精神的苦痛を受けた場合、民事訴訟で損害賠償を求めることが可能です。事業主、ハラスメントを行った上司個人のいずれも相手とすることができます。

身体的な暴力や精神的な苦痛に対しても、加害者および事業者に対して損害賠償を請求することができます。これは民事訴訟での対応となります。

(2)警察への通報

暴行や傷害を受けた場合、もちろん110番で警察に通報することができます。そんなことめったにないだろう、と思われる方もいるかもしれませんが、労働事件を扱っているとよく見られる経過です。刑事事件として起訴され、裁判となった場合には、裁判記録を民事損害賠償の証拠として活用することもあります。

●労働組合や弁護士に相談を

もし、こうした職場でこうしたトラブルに遭ってしまった時には、労働組合や弁護士に相談することが有効です!

会社に労働組合がある場合、労働組合を通じて問題を解決する支援を受けることができます。会社には労働組合がなかったり、あまり親身に相談に乗ってくれない場合などは、地域などの労働組合に相談することもできます。

また、パワハラや労働問題に詳しい弁護士に相談し、法的な対応を検討することも重要です。自分では気づいていない問題点などが出てくることもありますので、これは何かおかしいのでは?と思った場合は気軽に弁護士に相談していただければと思います。

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