14024.jpg
ニセ弁護士逮捕、嘘の名刺手渡し活動 弁護士法で禁止された「非弁行為」とは?
2018年03月19日 09時43分

弁護士資格がないのに、弁護士だと名乗って活動していた疑いで、会社役員の男性(71)が警視庁に逮捕されたと3月7日に報じられた。

TBSなどによると、逮捕された男性は2016年2月、健康食品販売会社の会長(61)に対し、弁護士資格がないのに弁護士と記載した名刺を手渡した疑いなどがある。男性は東京都内の法律事務所内のスペースで、パソコンと机を借りて活動していたといい、「着手金や報酬など400万から500万円をもらった」と話し、容疑を認めているという。

男性はもともと司法試験に合格しており、裁判所の判事を経て弁護士登録をし、弁護士として活動していた時期がある。ただ、自ら弁護士登録を取り消していたという。

弁護士資格がないにもかかわらず、弁護士と同様の法律事務を取り扱うことを「非弁活動」と呼び、弁護士法は禁じている。「非弁」について正木健司弁護士に聞いた。

弁護士資格がないのに、弁護士だと名乗って活動していた疑いで、会社役員の男性(71)が警視庁に逮捕されたと3月7日に報じられた。

TBSなどによると、逮捕された男性は2016年2月、健康食品販売会社の会長(61)に対し、弁護士資格がないのに弁護士と記載した名刺を手渡した疑いなどがある。男性は東京都内の法律事務所内のスペースで、パソコンと机を借りて活動していたといい、「着手金や報酬など400万から500万円をもらった」と話し、容疑を認めているという。

男性はもともと司法試験に合格しており、裁判所の判事を経て弁護士登録をし、弁護士として活動していた時期がある。ただ、自ら弁護士登録を取り消していたという。

弁護士資格がないにもかかわらず、弁護士と同様の法律事務を取り扱うことを「非弁活動」と呼び、弁護士法は禁じている。「非弁」について正木健司弁護士に聞いた。

●非弁活動は弁護士法で禁止

ーー「非弁」とはどのようなものでしょうか

「弁護士または弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で、一般の法律事件に関する法律事務を取り扱ったり、周旋(仲介)したりする行為のことです。弁護士法72条により禁止されています(非弁活動の禁止)。

たとえば、法律上の特別の定めがないのに、報酬を得る目的で、交通事故の示談交渉や、アパートの立ち退き交渉を反復継続して行うことなどです。ただし、保険会社は一定の場合、交通事故の示談交渉ができます」

ーー今回のケースでは、法律事務所に出入りし活動していたようですが、事務所側の責任は問われますか

「弁護士法27条は、弁護士が非弁活動をする者から事件の周旋を受けたり、彼らに自己の名義を利用させたりすることを禁止しています。報道からだけでは、このあたりの要素がわかりませんが、仮に事務所の名義を使わせていたとしたら27条違反になると思います」

ーーもともと弁護士だったのに、自ら登録を消してまで非弁活動をしたというのはあまり聞いたことがありません

「その意味でかなり特殊なケースかもしれません。高齢の元裁判官で、しかも退官後は弁護士登録をしていたとのことであり、あえて弁護士登録を抹消した後に今回活動していたとのことですから、動機として、弁護士会費の負担を免れようとしたのではないかとも思われます」

●非弁を放置すれば、法律秩序を害する

ーーそもそも、なぜ非弁活動が禁止されているのでしょうか

「資格を持たず、何らかの規律にも服しない者が、自己の利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とする行為を放置すれば、当事者や関係者などの利益を損ねかねません。また、法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げ、ひいては法律秩序を害することになります。そのために、こうした行為を禁止する必要があるのです」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る