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ガンで余命宣告を受けた夫「愛人に財産を残したい」妻が阻止するための方法はあるか?
2015年09月22日 10時47分

「ガンが転移している。残りの人生は愛人と過ごす」。余命宣告を受けた夫から、そんな告白を受けたという結婚25年目の主婦の投稿が、ネット掲示板で話題になった。夫からは、ガンが転移していることや、離婚して不倫相手と結婚したいことを打ち明けられた。不倫相手に財産を残したいとも考えているそうだ。

その後の話し合いで、不倫相手に結婚の意思がないことから、とりあえず離婚の危機は回避できた。投稿者は「おバカなダンナなのですが、めっちゃ好きなんですよねぇ」「(ガンを)私が代わってあげたいくらい」と投稿していた。

これに対して、他の投稿者からは、夫がこの先、不倫相手に財産を渡してしまうリスクを指摘する声があがった。子どものためにも「夫が勝手に財産を不倫相手にあげないように、財産を守る方法を考えた方がいい」とアドバイスしていた。

そもそも、夫は自分の財産を不倫相手に残すことはできるのだろうか。もしできるとした場合、夫が勝手に財産を不倫相手に渡さないように、妻は対策を講じることができるのだろうか。離婚問題に詳しい須山幸一郎弁護士に聞いた。

「ガンが転移している。残りの人生は愛人と過ごす」。余命宣告を受けた夫から、そんな告白を受けたという結婚25年目の主婦の投稿が、ネット掲示板で話題になった。夫からは、ガンが転移していることや、離婚して不倫相手と結婚したいことを打ち明けられた。不倫相手に財産を残したいとも考えているそうだ。

その後の話し合いで、不倫相手に結婚の意思がないことから、とりあえず離婚の危機は回避できた。投稿者は「おバカなダンナなのですが、めっちゃ好きなんですよねぇ」「(ガンを)私が代わってあげたいくらい」と投稿していた。

これに対して、他の投稿者からは、夫がこの先、不倫相手に財産を渡してしまうリスクを指摘する声があがった。子どものためにも「夫が勝手に財産を不倫相手にあげないように、財産を守る方法を考えた方がいい」とアドバイスしていた。

そもそも、夫は自分の財産を不倫相手に残すことはできるのだろうか。もしできるとした場合、夫が勝手に財産を不倫相手に渡さないように、妻は対策を講じることができるのだろうか。離婚問題に詳しい須山幸一郎弁護士に聞いた。

●夫が不倫相手に財産を残すことができる場合とは?

「夫が不倫相手に財産を残す方法としては、『贈与』または『遺贈』が考えられます。

『贈与』とは、生前に契約によって相手に財産を譲ること。『遺贈』とは、遺言によって財産を譲ることをいいます。

贈与は、契約の一種で、夫と不倫相手の合意が必要です。それに対して、遺贈は、遺言という単独行為で、夫が一方的にできるのがポイントです」

須山弁護士はこのように述べる。そもそも、妻がいるのに、不倫相手に財産を残す契約や遺言は有効なのだろうか。

「そうした贈与や遺贈は、公序良俗に反し、無効になるのではないかと考えられがちです。しかし、実務では、必ずしもそのような考え方は取られていません。

参考になる最高裁の判例があります。これは、男性が不倫相手の女性に、財産の一定割合を遺贈する内容の遺言を残していたというケースでした。

最高裁は、遺贈した目的を重視して、次のような判断を示しました。

(1)不倫関係を維持継続することを目的としてなされた遺贈は無効。

(2)遺贈の目的が遺贈を受けた女性の生活を保全するためになされたもので、遺言の内容が妻子など相続人の生活の基盤を脅かすものでないときは、有効となる余地がある。

こうした考え方は、贈与にも同様に適用されると思われます。ですから、その目的によっては、夫は贈与または遺言により、不倫相手に財産を残すことができることになります」

●夫の贈与や遺贈を事前に止めることは困難

妻は、夫が不倫相手に財産を贈与・遺贈することをやめさせることができるだろうか。

「贈与・遺贈自体は、妻の関与なく夫が勝手に行うことができるので、妻としては、これを事前に阻止することは困難です。

したがって、これらが発覚した場合に、事後的に無効を主張していくケースが大半であると考えられます」

事前に妻ができることはないのだろうか。

「当然のことですが、まずは夫とよく話し合い、そのような遺贈・贈与等を行わないように求めましょう。

不倫相手の所在が分かっているのであれば、不倫相手に対し、『夫との不倫関係の解消』、『慰謝料請求』、『贈与を受けた財産に対する返還請求の予告』を内容とする内容証明郵便を送付し、夫から贈与を受けないように求めておくことが考えられます。

なお、仮に遺贈が有効とされた場合であっても、離婚さえしていなければ、遺留分相当額は認められます。したがって、夫に離婚届を勝手に提出されないよう、離婚届の不受理申出をしておくことも重要です」

須山弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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