1413.jpg
【詳報】JASRACが最高裁で「敗訴」 放送局との契約で新規参入業者を「排除」
2015年04月28日 20時21分

日本音楽著作権協会(JASRAC)がテレビ局などと結んでいる契約方法が、独占禁止法違反(私的独占)にあたるかどうかをめぐって争われた裁判で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は28日、JASRACの行為には「他の事業者の市場参入を著しく困難にする効果がある」と認める判決を下した。

この最高裁判決によって、JASRACと放送事業者が結んでいる「包括契約」が、独占禁止法の禁止する「私的独占」にあたるかどうかを、公正取引委員会(公取委)があらためて審判をすることになった。

日本音楽著作権協会(JASRAC)がテレビ局などと結んでいる契約方法が、独占禁止法違反(私的独占)にあたるかどうかをめぐって争われた裁判で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は28日、JASRACの行為には「他の事業者の市場参入を著しく困難にする効果がある」と認める判決を下した。

この最高裁判決によって、JASRACと放送事業者が結んでいる「包括契約」が、独占禁止法の禁止する「私的独占」にあたるかどうかを、公正取引委員会(公取委)があらためて審判をすることになった。

●「排除」が争点だった

最高裁で議論されていたポイントは、JASRACの行為が「他の事業者を排除しているかどうか」だった。これは「私的独占」にあたるかどうか判断するときの要件のひとつだ。

最高裁判決はこの点について、「他の事業者の市場参入を著しく困難にする効果がある」としたうえで、特段の事情のない限り「正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性があると解すべき」だと判断した。

そして、今後行われる公取委の審判では、その「特段の事情」があるかどうかや、JASRACの行為が「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」ものに該当するかなど「私的独占」のほかの要件が、審理の対象になるとした。

●JASRACの「包括契約」とは?

JASRACとテレビ・ラジオ局が結んでいる「包括契約」は、放送事業収入の1.5%を払う代わりに、JASRACの管理している曲を自由に使えるという内容だ。

こうしたJASRACの包括契約をめぐっては、公取委がいったん2009年、イエローカードである「排除措置命令」を出した。ところが、JASRACの不服申し立てが認められ、2012年に排除措置命令を取り消す審決が出た。

そこで、この審決について、JASRACと競合する著作権管理会社のイーライセンス(東京)が不服だとして裁判を起こした。1審の東京高裁は2013年11月に「審決を取り消す」という判決を出したが、公取委とJASRACが最高裁に上告していた。

●「早期の審決に期待」とイーライセンス側の弁護士

イーライセンス代理人の越知保見弁護士は、判決後に開いた記者会見で「最高裁判決は、高裁判決よりも踏み込んだ内容となっていて、JASRAC側が争う余地はより少なくなった。最高裁判決にしたがう形の審決が、早期に出されることを期待します」と話した。

また、イーライセンスは判決を受けて「公平公正な競争市場の早期形成に向け、一般社団法人日本音楽著作権協会が速やかに対処されること願っております」とするコメントを発表した。

一方のJASRACは「本件で問題とされた使用料徴収方法が、大量の著作物の円滑な利用と適正な著作権保護とを効率的に両立させる合理的なものであって、諸外国において同様の方法が広く採用されていることからも明らかなように、私的独占(独占禁止法3条違反)に該当するものではないことを引き続き主張してまいります」とするコメントを発表した。

公取委は「所要の手続きを適切に行ってまいりたい」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る