1421.jpg
引っ越し物件「横取り阻止」で「2股」「3股」の仮押さえ…法律上は許される?
2018年03月03日 09時02分

新たな物件探しをする際、迷っていると他の人に先を越されてしまう可能性があります。

「ここに決めた!」とCMのように言い切れればいいのですが、現実は簡単ではありません。不動産業者で内見を終えた後、「どうしますか?人気物件ですよ」と言われると「他に取られたくない」と思って反射的に申し込みたくなるもの。ただ、別日に他の不動産業者で内見した物件も同じように魅力的で、すぐに判断がつかないということもあるでしょう。

この場合、同じくらい魅力的ないくつかの物件に申し込みをし、「キープ」しておいて、最終的に一つにしぼれるとしたらありがたい。でも、そのようなことをしては不動産業者や貸主、さらに物件探しをしている他の人にも迷惑です。実際、複数物件のキープをすることは法的にどのような問題を引き起こすのか、高橋辰三弁護士に聞きました。

新たな物件探しをする際、迷っていると他の人に先を越されてしまう可能性があります。

「ここに決めた!」とCMのように言い切れればいいのですが、現実は簡単ではありません。不動産業者で内見を終えた後、「どうしますか?人気物件ですよ」と言われると「他に取られたくない」と思って反射的に申し込みたくなるもの。ただ、別日に他の不動産業者で内見した物件も同じように魅力的で、すぐに判断がつかないということもあるでしょう。

この場合、同じくらい魅力的ないくつかの物件に申し込みをし、「キープ」しておいて、最終的に一つにしぼれるとしたらありがたい。でも、そのようなことをしては不動産業者や貸主、さらに物件探しをしている他の人にも迷惑です。実際、複数物件のキープをすることは法的にどのような問題を引き起こすのか、高橋辰三弁護士に聞きました。

●不必要に多数物件をキープすべきでない

ーー複数物件のキープは法律上、問題になりますか

「悪意をもって多数の賃貸物件の仮押さえをすることにより、入居募集物件の集客を困難にして不動産仲介業者や大家の業務の妨害をするような例外的なケースを除けば、物件を複数キープすることによって法律上の責任を負うことはないと思います。

ただ、不必要に多数の物件を仮押さえすることは、仲介業者やオーナーの迷惑になって業務妨害を疑われることもありますので控えるべきです」

ーーキープのため金銭を支払うこともあります

「物件をキープするにあたり、『申込金』等の金銭を支払った場合、優先的に本契約をできる権利を確保してもらえます。この申込金を支払っている以上、キープ自体に法律上の問題はありません。実務上は、金銭を支払わなくとも仲介業者を通じて大家に申込書を送るなどして、一定期間、優先順位を確保する例もあります。

申込金は、賃貸借契約における優先順位を確保するために、賃貸借契約成立前に不動産仲介業者に差し入れる預け金であるので、最終的に賃貸借契約が締結されなかった場合、仲介業者(貸主の場合も同様です)がお金を保持する法律上の根拠はなくなります」

●キャンセルなら申込金は返還される

ーー申込金は返ってくるということですか

「契約自由の原則により、契約成立前であれば契約締結をキャンセルすることは問題がありません。キャンセルされた場合には、仲介業者は申込金の返還に応じなければならず、手数料や手付であるとして返還を拒むことはできません。宅地建物取引業法上もそのように規定されています(同法47条の2第3項、同規則16条の12第2号)。

申込金の返還についてのトラブルの回避の方法としては、預り証を発行してもらう等して、あくまでもお金を預けているに過ぎないということを明らかにしておくべきでしょう」

ーーそれでは仲介手数料についてはいかがでしょうか

「仲介業者の仲介手数料は成功報酬であり、原則として当事者間で契約が成立した場合のみ発生しますので(一般媒介契約約款9条、商法550条参照)、契約が成立していない以上、仲介業者に報酬を支払う必要もありません」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る