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アルツハイマー病「研究データ改ざん」疑惑 「内部告発者」をどう守ればいいのか?
2014年02月12日 17時49分

アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J-ADNI(ジェイ・アドニ)」で、臨床研究データの改ざんがあったのではないかと疑われている。きっかけは、研究メンバーによる内部告発だ。この問題を契機として「内部告発者をどう守るか」という課題が、改めて浮かび上がっている。

報道によると、研究メンバーの一人が昨年11月、データ改ざんを指摘する「告発メール」を厚労省の担当者に送った。ところがその担当者は、告発対象の研究責任者に対して、告発者の名前が入ったメールをそのまま転送したというのだ。そのため、告発者が誰かは業界内に知れ渡ることになり、結局、告発した研究メンバーが2月3日、実名で記者会見を開く事態となった。

今回のように内部告発を受けた役所が、告発した人の名前を関係者に漏らすことは、公務員の守秘義務や内部告発者を守る法律に違反しないのだろうか。公益通報者の問題にくわしい中村雅人弁護士に聞いた。

アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J-ADNI(ジェイ・アドニ)」で、臨床研究データの改ざんがあったのではないかと疑われている。きっかけは、研究メンバーによる内部告発だ。この問題を契機として「内部告発者をどう守るか」という課題が、改めて浮かび上がっている。

報道によると、研究メンバーの一人が昨年11月、データ改ざんを指摘する「告発メール」を厚労省の担当者に送った。ところがその担当者は、告発対象の研究責任者に対して、告発者の名前が入ったメールをそのまま転送したというのだ。そのため、告発者が誰かは業界内に知れ渡ることになり、結局、告発した研究メンバーが2月3日、実名で記者会見を開く事態となった。

今回のように内部告発を受けた役所が、告発した人の名前を関係者に漏らすことは、公務員の守秘義務や内部告発者を守る法律に違反しないのだろうか。公益通報者の問題にくわしい中村雅人弁護士に聞いた。

●組織の「自浄作用」には限界がある

「一般論ですが、組織的に行われている『違法行為』について、組織の内部で是正しようと上司などに働きかけても、きちんと自浄作用を発揮できるとは限りません」

中村弁護士はこう述べる。そのような現実を踏まえて作られたのが、公益通報者保護法というわけだ。

「『行政機関への公益通報制度』は、関係者からの告発(公益通報)を受け止めた行政が、その組織に対して外部から是正を迫っていく、という制度です。

この仕組みが機能するためには、『告発者の保護』が大前提です。告発を行った人が組織の中で孤立した場合、社会が守ってくれないなら、誰も告発なんてしなくなります。そうすれば、組織的な『違法行為』は、ずっと見過ごされたままになりかねません」

中村弁護士はこのように指摘する。そうなると、今回のような事態は、まさに避けなければならない状況ではないのだろうか?

「そうですね。ところが実際は、本件のように、監督官庁が告発を受けても、すぐ動かないことが多いのです。

ようやく動いたとしても、違法行為をしている当の組織に、告発者の実名ともども丸投げしている、というケースが見られます。その結果、不利益を受けるのは告発者です。

もちろん公益通報者保護法は、告発者に対する不利益な取扱いを禁止しています。ところが、それに違反した事業者や組織に対しては、同法では何のペナルティも課されないのです」

●公益通報者保護法は「早急に改正が必要」

そうなると、告発メールを受け取った側には、告発者の身を守る責任も課されているといえそうだが……

「もし、告発を受け止めた機関が『告発者の実名』を漏らしたことが原因で、その告発者が何らかの不利益を受けたとしたら、不法行為として損害賠償責任を問われる可能性もあるでしょう。

行政機関が、その職務執行に関して告発者に損害を与えたとすれば、国家賠償責任を負うことにもなります」

話を聞いていると、運用を含めたルール全体がちぐはぐな印象を受ける。中村弁護士も次のように、法改正の必要があると指摘していた。

「残念ながら、2006年に施行された公益通報者保護法は、その目的を果たしているとはいえない状況です。

まず、(1)告発者に不利益を課した事業者側に対する罰則を設ける、(2)告発を受け付ける総合窓口を事業者と無縁の消費者庁に設ける、といった内容の法改正を、早急に実現するべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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