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派遣法改正案、参院厚労委で可決「どこまでも企業に都合が良い改正」労働弁護団が批判
2015年09月08日 22時15分

派遣労働者の受け入れ期間制限を事実上なくす「労働者派遣法改正案」が9月8日、参議院の厚生労働委員会で可決された。派遣労働者として働く女性や日本労働弁護団のメンバーが東京・霞が関の厚生労働省で記者会見し、「派遣労働を無期限に使い続けられるようにする法改正は、断じて許せない」と改正案を批判、「議論されるべきことが未消化のまま積み残されている。このまま通すのはおかしい」と訴えた。

「派遣労働者の受け入れ期間制限」とは、企業が仕事を派遣労働者に任せていい期間の制限のこと。現行ルールだと、企業が、同じ仕事を派遣労働者に任せられる期間は、専門26業務を除いて、上限3年までとなっている。

改正案は、全ての業務で、「仕事ごとの受け入れ期間制限」をなくす。その一方で、「同じ派遣労働者」に「同じ仕事」をさせることができる上限期間を、業務の種類に関わらず、3年までとする。

このため企業は、3年ごとに「違う派遣労働者」に入れ替えれば、「同じ仕事」を派遣労働者に任せ続けることができるようになる。

派遣労働者の受け入れ期間制限を事実上なくす「労働者派遣法改正案」が9月8日、参議院の厚生労働委員会で可決された。派遣労働者として働く女性や日本労働弁護団のメンバーが東京・霞が関の厚生労働省で記者会見し、「派遣労働を無期限に使い続けられるようにする法改正は、断じて許せない」と改正案を批判、「議論されるべきことが未消化のまま積み残されている。このまま通すのはおかしい」と訴えた。

「派遣労働者の受け入れ期間制限」とは、企業が仕事を派遣労働者に任せていい期間の制限のこと。現行ルールだと、企業が、同じ仕事を派遣労働者に任せられる期間は、専門26業務を除いて、上限3年までとなっている。

改正案は、全ての業務で、「仕事ごとの受け入れ期間制限」をなくす。その一方で、「同じ派遣労働者」に「同じ仕事」をさせることができる上限期間を、業務の種類に関わらず、3年までとする。

このため企業は、3年ごとに「違う派遣労働者」に入れ替えれば、「同じ仕事」を派遣労働者に任せ続けることができるようになる。

●「3年で雇い止めになるようなルールをやめてほしい」

日本労働弁護団・幹事長の高木太郎弁護士は「どこまでも企業に都合が良い改正だ」と批判。企業は「使い続けたい派遣労働者」については、仕事(部署)を入れ替えてずっと雇い続ける一方で、「入れ替えたい派遣労働者」については3年で雇い止めするようになるだろう、と指摘した。弁護団が実施したアンケートや電話ホットラインには、多くの不安の声が寄せられているという。

会見した派遣労働者の女性(56)は、法案が参院厚労委で可決されたことについて、「悔しいです。悔しい。本当に悔しいです」と、天を仰いだ。この女性は専門26業務として、同じ派遣先で15年間働いてきたが、今年5月に3年後の雇い止めを宣告されたという。

これまで、専門性の高い26業務については、例外的に派遣社員ごとの期間制限がなく、何年でも派遣社員として働くことができた。しかし今回の改正で、専門業務という区分けがなくなり、他の業務と同じく、派遣社員として働ける期間が3年に制限されることになった。

この女性は「これは合法クビ切り法案だ」と強調、「3年で雇い止めになるようなルールをやめてほしい」「専門26業務の区分をなくして正社員と同じ仕事をさせるなら、正社員と同じ待遇にしてもらいたい。同一価値労働同一賃金を法令化してほしい」と訴えていた。

●「誠意のある審議をしてほしい」

法案について、安倍首相は、9月3日の参議院厚生労働委で「今回の改正案は、正社員を希望する方にはその道を開き、派遣を選択する方には待遇の改善をはかるためのものだ」と答弁した。

政府側のこうした説明について、会見した派遣労働者の女性(30代)は、「これを派遣労働者のための法案だと言い張るのは、恩着せがましく、動機が不純で、みっともない」「誠意のある審議をしてほしい」と怒りをあらわにしていた。

派遣法改正案は、施行日の変更などの修正があったため、成立までにはこの後、参議院本会議で可決後に、衆議院本会議でもう一度可決される必要がある。派遣法改正案は9日にも参議院本会議で可決され、その後、衆議院へ送られる見通し。

(弁護士ドットコムニュース)

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