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「ランチの時間は無駄」休憩取りたがらない従業員、会社はどう接すればいい?
2017年04月10日 10時16分

昼時のオフィス街を歩くと、同僚らと財布片手にランチに向かうサラリーマンやOLの姿を目にする。「唯一、外出できるチャンス」(30代女性、事務職正社員)などと、楽しみにする人も多い。

一方で、「忙しくて、外に出て、1時間も昼食の時間を使う暇がない」(20代男性、営業職正社員)、「時給制なので、わざわざランチのために1時間を無駄にしたくない」(20代女性、アルバイト)といった理由で、デスクで食べながら仕事する人もいる。あるいは「13時からの打ち合わせが入ると、移動時間からいっても、ランチをする時間がない」(20代男性、営業職)など、様々な事情があって、ランチにありつけない人もいる。

しかし、フルタイムで働く人にとって、休憩時間は権利であり、その上司にとって休憩時間を与えることは義務でもあるはずだ。

上司は、様々な事情で「休憩時間をとらない」と主張する部下たちに、どのように取らせるよう説得するべきなのだろうか。また、もし部下が休憩時間をとらなかったために体調を崩した場合には、上司にも責任はあるのだろうか。山田長正弁護士に聞いた。

昼時のオフィス街を歩くと、同僚らと財布片手にランチに向かうサラリーマンやOLの姿を目にする。「唯一、外出できるチャンス」(30代女性、事務職正社員)などと、楽しみにする人も多い。

一方で、「忙しくて、外に出て、1時間も昼食の時間を使う暇がない」(20代男性、営業職正社員)、「時給制なので、わざわざランチのために1時間を無駄にしたくない」(20代女性、アルバイト)といった理由で、デスクで食べながら仕事する人もいる。あるいは「13時からの打ち合わせが入ると、移動時間からいっても、ランチをする時間がない」(20代男性、営業職)など、様々な事情があって、ランチにありつけない人もいる。

しかし、フルタイムで働く人にとって、休憩時間は権利であり、その上司にとって休憩時間を与えることは義務でもあるはずだ。

上司は、様々な事情で「休憩時間をとらない」と主張する部下たちに、どのように取らせるよう説得するべきなのだろうか。また、もし部下が休憩時間をとらなかったために体調を崩した場合には、上司にも責任はあるのだろうか。山田長正弁護士に聞いた。

●休憩しない従業員、どうしたらいい?

「休憩時間について、法律は次のように定めています(労働基準法第34条1項)。

・労働時間が6時間を超える →45分以上

・労働時間が8時間を超える →60分以上

会社は、休憩時間を与えることを義務付けられています。

この条項は、裁量労働制やアルバイトにも適用されるため、これらの場合でも同様、休憩時間は必要です(ただし、労働基準法上の管理監督者や監視断続労働などの場合には、休憩時間の適用がありません)」

休憩時間をとらない従業員を、本人の意思に委ねておくことは問題なのだろうか。

「法律に定められている以上、従業員が休憩時間を取りたくないと主張しても、法律上の義務であることを伝え、休憩時間を取るよう命令すべきです。

労働時間の途中で一定の休憩時間が必要とされている趣旨は、長時間労働に従事することで業務効率が下がり、労働災害も起きやすいなどのリスクを避けるためですので、休憩時間を取りたがらない従業員には、この趣旨を理解してもらうとともに、従業員自身に問題意識を持たせることが必要でしょう」

●休憩時間をとらずに働いたら、残業代はつくのか?

それでも従業員が休憩時間をとらず、就業時間まで働いた場合には、1時間分の残業代を支払うことになるのだろうか。

「会社の命令に違反して、従業員がひそかに働いた場合には支払う必要はありません。しかし、それを会社が黙認していた場合は、『会社側に黙示の指示があった』とみなされ、時間外(所定外)労働に該当し、残業代の支払義務が生じます」

休憩時間をとらずに働いていた従業員が体調を崩した場合、上司は何らかの責任を負うのだろうか。

「前述したように、法律上、休憩時間を取得させる趣旨は、従業員の健康を守る点にもあります。もし仮に、部下が休憩時間もとらずに働き続け、過労などにより体調を崩したとします。その際、上司が休憩時間をとらないで働くように明確な指示をしていたり、黙認していたりした場合には、上司の責任が問われる可能性もあります。

ただし、上司として休憩時間を取得するよう書面等ではっきりと示し、業務を行うことについて黙認しなかったのにもかかわらず、従業員がひそかに休憩時間を取っていなかった場合には、上司として責任を負わないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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